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開業医は休日も夜も [時事ネタ]

最近疲れ気味で医療関係の記事かいてなかったんですが、そろそろ。
朝日新聞 5/10社説です。

結局、医師全体の労働時間を週40時間に近づけよう、という視点が皆無なんですよね。
勤務医の負担を開業医に分配しよう、といっているだけで。

どんどん時間外労働しろ、
でも医療事故の防止策を徹底せよ。
さもなければ根拠もそこそこに「医療ミス」として糾弾するぞ。
(医療事故と医療過誤は似て非なる言葉であることも、マスコミは学ばなければなりません)
対極にある主張だと、いい加減気づいて、それを認めませんか。

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医療ビジョン―開業医は休日も夜も

 身近な開業医には夜間や休日でも診てもらいたい。大きな病院は入院と専門的な治療だけを扱い、軽い病気は開業医にまかせてはどうか。

 厚生労働省は今後の医療ビジョンとして、こんな考え方をまとめた。

 もともと、軽い病気の時は開業医、難しい治療や入院が必要な時は病院とすみ分けていた。

 ところが最近は、夜間や休日に往診する開業医が減った。逆に病院に患者が集まり、勤務医は疲れ切っている。

 厚労省が開業医と病院の役割を見直そうというのは、こうした現状を改めるためだ。限られた医師や医療機関を有効に使うためには、この改革は遅すぎたぐらいだ。日本医師会や地域の医療に責任を持つ都道府県も加わって、具体策をまとめてもらいたい。

 厚労省案の第一の柱は、住民とのかかわりが深い開業医にもっと働いてもらおうということだ。高齢化が進むなかで、地域の医療を充実させるには、開業医の活用が欠かせないからである。

 診療所で患者を診るだけでなく、往診に出かける。当番医のネットワークをつくり、夜間や休日も診察にあたる。時間外でも電話で相談に応じる。高齢者には24時間体制で対応する。そんな活動が新たな開業医の姿として描かれている。

 また、高齢者が地域で安心して暮らしていくためには、医療だけでなく、生活を支える介護サービスと組み合わせる必要がある。開業医はその全体のまとめ役となることも期待される。

 地域の医療が充実すれば、病院の勤務医は軽い病気の患者を診なくてもよくなり、本来の高度な医療に全力を注ぐことができる。これは病院の医師不足の解消にもつながる。

 問題は、往診や休日診療をあまりしなくなった開業医が急に変われるかどうかだ。いまさらそんなことはできないという開業医も多いかもしれない。

 だが、ここは開業医の出番だと前向きにとらえるべきではないか。開業医を中心とする日本医師会は、この機会に組織をまとめ、「町医者の復権」を図った方がいい。

 厚労省案のもう一つの柱は、全国に約9000ある病院を急性期、回復期、終末期などの患者の病状に応じて機能をはっきりさせたうえで、互いの連携を強めることだ。

 同じような病院がいくつあっても、患者は病状の段階ごとに選ぶことができず、使い勝手が悪い。性格のはっきりしない中小病院は厳しい選択を迫られることになるが、患者の利益や全体の効率を考えれば、やむをえまい。

 開業医に新たな役割を負ってもらう。病院ごとに機能を明確にする。そうした改革を進めるにあたっては、仕事や責任のふえる医師や病院には診療報酬を手厚くし、メリハリをつける必要があることは言うまでもない。

http://www.asahi.com/paper/editorial20070510.html

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> 診療所で患者を診るだけでなく、往診に出かける。当番医のネットワークをつくり、夜間や休日も診察にあたる。時間外でも電話で相談に応じる。高齢者には24時間体制で対応する。そんな活動が新たな開業医の姿として描かれている。

どういう開業形態を想定しているのでしょうか。
大半の開業クリニックは一人でやっていると思いますが、
・通常の診療に加えて
・時間外も電話に応じる(無料で?)
・高齢者には24時間対応
要は、開業医は24時間365日患者対応をしろということですよね。
それって、やりようによっては勤務医以上に拘束されますよ。
開業医は社長であって労働者ではないかもしれませんが、人間です。
数名の医師、看護師体制の整った、グループ開業の形態をとっていなければ到底不可能です。

「夜間急病診療所」などの形態で、医師会員の持ち回りで夜間・休日診療がまわっている都市は、実際あります。
自治体と医師会が連携して、多額の税金が費やされています。

クリニックが多数ある都市部ならよいのですが、数えるほどしかない地方ではどのように回していくかという問題もあるでしょう。

また、一人親方の開業医が夜間診療翌日に心と体を休めるためには、自らのクリニックを休診(臨時休業)にしなければなりません。
しかし、現実には勤務医が強いられている「当直」と同じで、眠い目をこすって、飲酒後並に回転の落ちた頭で、翌日の通常勤務をこなしているケースが多いと思われます。

クリニックを侮ってはいけません。
軽症のように見える重症患者を見落としてはならないこと、微妙な臨床判断を刻々と下さなければならないことは、病院でも、クリニックでも、同じなのですから。

> 地域の医療が充実すれば、病院の勤務医は軽い病気の患者を診なくてもよくなり、本来の高度な医療に全力を注ぐことができる。これは病院の医師不足の解消にもつながる。

外来が少なくなる分、勤務医は病棟業務、手術、検査などに専念しやすくなるでしょう。
しかし、診療報酬が削られる一方の昨今、外来を縮小することで病院が経営的に成り立つのかどうかなど、多角的にとらえる必要があります。

変に医療システムをいじくりまわしたり、ジャーナリストという素人がずれた主張したりするより、不急の時間外受診を戒めたり、病院に来ても一発で風邪を治す薬なんかありゃしないことを周知してくれたりするほうが、よっぽど勤務医の励みになるんですが。

医者は甘い、世の中もっと大変な職業はたくさんある、とおっしゃる方も少なからずいると思います。
でも、いつか、自分や大切な人の手術や重大な決定が、夜勤明けのボケボケ頭の医師によって行われることを想像してみてください。
それでも、医師に休息は必要ありませんか。


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