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マスコミ各社殿 そろそろ検証しませんか―救急車「拒否」 [時事ネタ]

連日の報道ですが、そろそろ建設的な議論をお願いしたい。
事実を知らしめることに意義がないとは言わないが、いまだにそこで止まっている。
その点、福島や奈良のときのほうがまだましだったかもしれない。

需要側(患者)の問題なのか、中継ぎ(消防、自治体)の問題なのか、供給側(病院)の問題なのか。
大阪の一地域の問題なのか、全国的な問題なのか。

患者が急病にかかることに、基本的に非はない(中には定期受診を怠ったために重症化した方、まったく健診を受けたことがない「自称病気したことがない」方もいる)。
では救急病院に軽症患者があふれていたり、前回エントリで述べたような軽症救急車であふれかえっていたりするために重症患者が受け入れられないということはないのか。

救急隊は重症患者の受け入れ可能な病院をきちんと把握しているのか。
2次・3次救急病院を10件、20件といったら相当広域に受け入れ要請しているはず・・・。
まさか1次救急診療所・病院や療養型病院に要請しているなんてことはないか。

人口に対して、また病気になる頻度が高いといえる高齢者人口に対して、2次・3次救急病院の数は十分にあるのか、そしてその病院のマンパワーは十分にあるのか(そもそも十分な病院なんて日本中探したって数えるほどだが)。
そこのスタッフはほんとにやる気がないのか。

いいかげん、国民の反医療感情を煽るだけの報道はやめてほしい。
今日だって、めちゃくちゃにごった返している中救急車で現れたけど、怪我の処置だけで5分でご帰宅いただいた方いるし。

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心肺停止でも受け入れ拒否=12病院、1時間後死亡-大阪・富田林市
1月13日15時31分配信 時事通信

 大阪府富田林市で昨年3月、心肺停止状態で救急搬送を要請された同市内の女性=当時(77)=が12病院に受け入れを拒否され、約1時間後に搬送先の病院で死亡していたことが13日、分かった。同市では同12月にも、約30病院に受け入れを拒否された女性=同(89)=が死亡したケースが明らかになっている。
 富田林市消防本部によると、昨年3月14日午後9時50分ごろ、女性の家族から「風呂でおぼれて意識がない」と119番。同本部通信指令室は救急車到着までに11病院に要請したが、いずれも断られた。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080113-00000025-jij-soci

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追記 2008.01.14.PM
今朝の朝日新聞の記事がネットに載ったので転載します。

中核救急病院、2年で174カ所減 搬送遅れの要因に
2008年01月14日

 地域の救急患者を受け入れる中核的存在の「2次救急病院」が、この2年間で174カ所減ったことが、朝日新聞の全国調査でわかった。深刻化する医師不足や経営難が影を落とした結果、減少傾向が加速しており、新たに救急を掲げる病院がある一方、救急の看板を下ろしたのは、2年間で全体の5.6%にあたる235カ所に上る。急患の収容先選びが困難になり、搬送遅れが続発するなど市民生活への打撃は大きい。国の医療費抑制政策が救急医療の根幹を揺るがしている実態が、色濃く浮かんだ。

 日本の救急医療機関は、開業医らが軽症患者を診る「1次(初期)救急」▽入院や手術の必要な患者を治療する「2次救急」▽救命救急センターなど重篤患者に対応する「3次救急」に分かれ、中でも、多くの市にある公立・民間の2次救急病院が地域医療の中心的担い手となっている。調査は、救急医療計画を策定する各都道府県を対象に、05年10月~07年10月の増減状況を尋ねた。

 全国の2次救急病院は05年10月時点で4170カ所あったが、2年後には3996カ所となり、174の純減。救急対応をやめた235カ所に加え、21カ所が3次救急に移行するなどした一方、新たに82カ所が2次救急病院になった。04年以前のデータがある自治体の多くで、05~07年の年間減少数がそれ以前を上回り、減少率が高まっている。

 2次救急病院の減少数トップは福岡県の26カ所。県東部の京築地区で市町村の補助金が打ち切られた結果、当番制で急患を受け入れる「輪番制度」がなくなり、10病院が一気に救急から外れたのが響いた。東京都の15カ所、大阪府の14カ所がこれに続き、診療報酬の改定に伴う収入減などで、診療体制を縮小する病院が都心部で増えている実情を裏づけている。当直の確保で人件費がかさむ救急が不採算部門になっている例も多く、東京では、5病院が破産や廃院に追い込まれていた。

 地域別では、四国の落ち込みが著しく、全体の11%にあたる22カ所の減。北陸・甲信越でも8%(22カ所)減少し、激務などから救急勤務医の退職が相次ぐ地方病院の苦悩が際立っている。

 こうした状況を背景に、各地で救急患者の搬送先探しが難しくなっており、兵庫県姫路市では昨年12月、吐血して搬送された男性が17病院に受け入れを拒まれた後に死亡。大阪府富田林市でも下痢や嘔吐(おう・と)で搬送された女性が30病院に断られた翌日に亡くなった。福島市では同11月、交通事故に遭った女性が4病院に計8回搬送を拒否された後、死亡している。

 このほか、2次救急に指定されている診療所も同時期に57カ所減り、404カ所になった。2年間で12%が消えたことになる。

 調査と並行して、救急対応をやめた235病院のうち、自治体が公表しなかった病院などを除く227病院に撤退の理由(複数回答可)を聞き、204病院から回答を得た。

 最多は「医師や看護師の不足」で66病院。次いで「診療所への変更」(40病院)が多く、「療養型病院などへの転換」も28病院あった。「地域の輪番制度がなくなった」が24病院、「倒産・廃院」は20病院だった。

 スタッフ不足を挙げた病院は地方に顕著で、「大学の医局による医師引き揚げで常勤医が10人以上減った」「医師が半減し、当直態勢が取れなくなった」などと事情を説明。「看護師が給与の高い都市部へ流れ、夜間の救急体制が築けない」との声も多かった。

 都市部では、人手不足を訴える病院が多い一方で、「救急での収益が期待できない」「病院の収支が厳しい中で続けるメリットがない」など、経営上の理由も目立った。中には「当直医の専門外の患者が来る救急は、訴訟リスクが高い」と回答した病院もあった。

http://www.asahi.com/health/news/OSK200801130038.html


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highhi55555

はじめまして、ニュースから来ました。
人口が多い地域は受け入れされないことが多いみたいですね。
なぜか大阪での事例しか報道されていませんが。

「たらい回し」、3年間で2452件=妊婦搬送受け入れで-総務省消防庁・厚労省
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200710/2007102600199
by highhi55555 (2008-01-14 00:43) 

さときち

はじめまして。
『救急車受入拒否』と検索してこちらに。
おっしゃる通り、この種の報道は表面的過ぎる感じは受けます。
富田林市は昨年の3月の話が今頃記事に。
何かのあやしい力が働いているのかと勘ぐってしまいますが、、、
そもそも『どこに問題があるのか』をはっきりさせないと。
もっとも(以前の記事にあるように)『鼻血程度で救急車を呼ぶ』という方もいる訳で。
核家族化が進み、お年寄りの一人暮らしが増えた。
そんなところにも原因の一端があるかもしれまんね。

受け入れ側の病院の体制の問題(特に地方の緊急医療体制)や
119番を受けた時点での優先順位のつけ方など、、、etc
私は問題になった大野病院の近く(車で1時間ぐらい)に住んでいるのですが、このようなニュースを聞くにつけ、医療を取り巻く環境の厳しさについて考えさせられます。
by さときち (2008-01-14 09:20) 

side_B

>highhi55555様
需給のバランスの問題でしょうかね。
地域で唯一の病院であれば受けざるをえないところ、都市部であれば「他の病院がなんとかしてくれる」というのもあるかとは思いますが。
しかし、「ベッド状況に関係なく応急処置をしろ」という意見もありますが、専門的な治療ができないながら受け入れ、転院を要し、結果死亡された事例で病院側の過失を認めた判例があります。
救急医療の手足を縛っているのは、国民の「病院に着いたら助かって当然」という感情、司法の国民感情への迎合でもあります。

>さときち様
マスコミが大阪を集中的に取材しているのか、はたまた当該自治体の消防が「リーク」しているのか。
行政を動かして最終的にはいい方向につながるのかもしれませんが、後者だとすれば消防と医療機関の信頼関係はボロボロ、地域の救急医療も崩壊の一途でしょうね。
by side_B (2008-01-14 11:41) 

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