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首都圏脱出 -原発・放射能- [時事ネタ]

すっかり忘れてたんですが、今の病院に移った理由のひとつは「首都圏脱出」でした。
最近上司に言われて思い出しました。
妻の賛同を得られた要因でもあり。

引っ越す前は
思い出したように震度3~4の余震があって、
公園や学校の放射線量の測定や除染があって、
庭木やゴミの焼却灰の保管場所が一杯で、
農産物の産地が気になって。

引っ越した先の暮らしは、そんなこと遠くの国の出来事のようでした。
地震もなく、
当然放射線量、ましてや除染なんて話題はまったくなく、
新聞に載っている雑誌広告にも放射線、ホットスポットなんていう見出しは皆無、
あるエリアの農産物をみることはそれほど多くなく(今は当時ほどではありませんが)。
正直言って、清々しささえありました。


首都圏より西側に出ると、放射能汚染や、除染なんて原発周囲のことでしかありませんでした。
関東から来た自分がそんな話をしても、驚かれ、最悪笑われる始末です。
報道されることは事実、報道されないことは「存在しないこと」という現実。


帰省するたびに、新聞の記事を探し、最近の状況を親にきいています。
最近では公共施設の除染が済んで子供のいる家庭優先で除染作業が進んでいる、ごみの処分場の問題は未だ決着がつかず。

原発から250km離れていてもこんな心配をしなければならないという、憶測ではなく、事実。
決して広くないこの国の在り方を決める上で、もっと知られているべきことだと思う。

子ども手当廃止は単純増税(再掲) [時事ネタ]

2011.02.08.の記事を再アップ。



某ポータルサイトをみると
子ども手当なんて廃止!
という意見が少なからず見受けられるのですが、
冗談じゃありません。

1月分の給与明細から、私の(税制上の)扶養家族は一気に2人減りました。
15才以下の年少扶養控除が廃止になったからです。
増税です。

でもこのままでは最悪子ども手当そのものなくなってしまいかねない情勢です。

子育て支援のはずが、むしろ子育て世代の首を絞めかねません。
(我が家だけの話ではありません。医者がそんなチンケなこと言うな、なんて言うことなかれ。)

政権の段取りの悪さはともかくとして、せめて増税分の手当を出すことには反対しないでいただきたいと思っています。

2011.03.03.追記
子ども手当 廃止 増税 といったフレーズで検索してきてくださる方が少なくありません。
該当する方はいーっぱいいるはずなんです。
賛同いただけるなら、何らかの形で表明していただければ・・・。

2011.04.15.追記
先日、実家でうちの税制上の扶養家族って何人だと思う?ってきいてみました。
当然3人だと思っていました。専業主婦1人+乳幼児2人。
違うんだよ!っていうと驚いていました。
そして子ども手当なんていらないって思われていました。
政治家も、マスコミも、年少扶養控除はすでに廃止されていて、それが恒久法であることに表だって触れようとはしない。
与党は、年少扶養控除を廃止した手前子ども手当は廃止にできない、とは言わない。扶養控除は廃止のまま、子ども手当も廃止にしたら子育て世代からの票をまるまる捨てることになるでしょうね。
野党も、児童手当(所得制限付き)復活なんていって、結局それって子育て家庭の増税分で払うわけでしょ?
震災復興のための増税を拒むつもりはさらさらない。
でも、子育て世代を狙い撃ちにするのはあまりに不公平だ。





子ども手当廃止は単純増税 [時事ネタ]

某ポータルサイトをみると
子ども手当なんて廃止!
という意見が少なからず見受けられるのですが、
冗談じゃありません。

1月分の給与明細から、私の(税制上の)扶養家族は一気に2人減りました。
15才以下の年少扶養控除が廃止になったからです。
増税です。

でもこのままでは最悪子ども手当そのものなくなってしまいかねない情勢です。

子育て支援のはずが、むしろ子育て世代の首を絞めかねません。
(我が家だけの話ではありません。医者がそんなチンケなこと言うな、なんて言うことなかれ。)

政権の段取りの悪さはともかくとして、せめて増税分の手当を出すことには反対しないでいただきたいと思っています。

2011.03.03.追記
子ども手当 廃止 増税 といったフレーズで検索してきてくださる方が少なくありません。
該当する方はいーっぱいいるはずなんです。
賛同いただけるなら、何らかの形で表明していただければ・・・。

2011.04.15.追記
先日、実家でうちの税制上の扶養家族って何人だと思う?ってきいてみました。
当然3人だと思っていました。専業主婦1人+乳幼児2人。
違うんだよ!っていうと驚いていました。
そして子ども手当なんていらないって思われていました。
政治家も、マスコミも、年少扶養控除はすでに廃止されていて、それが恒久法であることに表だって触れようとはしない。
与党は、年少扶養控除を廃止した手前子ども手当は廃止にできない、とは言わない。扶養控除は廃止のまま、子ども手当も廃止にしたら子育て世代からの票をまるまる捨てることになるでしょうね。
野党も、児童手当(所得制限付き)復活なんていって、結局それって子育て家庭の増税分で払うわけでしょ?
震災復興のための増税を拒むつもりはさらさらない。
でも、子育て世代を狙い撃ちにした増税はあまりに不公平だ。






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共通テーマ:育児

インフルエンザで病院は一儲けできるか [時事ネタ]

発熱、呼吸器症状の患者さんがあふれかえる昨今、見方によっては「インフルエンザ特需」だと思うんです。

が、いろいろ考えてみても医療機関本体の収支が多少よくなるぐらいで、現場には疲労感だけが残り、雇用の創出や、給与増にはつながりそうもありません。

1 まずは、患者数を増やしましょう。
料金を下げて薄利多売!
→保険診療は公定価格です。
待ち時間短縮によりお待たせせずにすぐ診ます!
→医師、看護師、検査技師といった国家試験資格保持者を多数雇わなければならないわりにそれほど濃厚な検査が必要なわけでもなく、日本のような安価な診療報酬で人件費がペイできそうにありません。
(診療報酬=お医者の給料ではありません。そこで働くすべてのスタッフの人件費、光熱費、ピンセットや舌圧子からCT,MRIに至るまでの様々な器材の購入、その滅菌やメンテナンス代など病院の運営に関わるすべての支出を賄っているのです。)

2 じゃあ、料金を引き上げれば!
→だから、公定価格なんですってば。

3保険外診療すれば!
→一般診療を保険外で受けたいというニーズがどれだけあるやら。予防接種に活路を見出だす手は確かにありかもしれませんが、スタッフのやりくりは大変だし、わざわざ非常勤雇ってもペイするとは思えないし。

そんなこんなで、流行り病に病院の勝機を見出だすのは無理っぽいな、というのが私の脳内の結論でした。

タ○フルが売れに売れてる某薬屋さんは売り上げを上方修正したっていうし、マスクやら空気清浄機やらの製造販売は恩恵に与ろうとしてるようですが、肝心要のはずの医療機関では「自助努力」ばかりで公的なバックアップもなければ市場原理も働きません。

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クレシア、マスク市場に参入 ティッシュ素材で低価格
11月21日8時16分配信 フジサンケイ ビジネスアイ


拡大写真
家庭用マスクの市場規模(写真:フジサンケイビジネスアイ)
 日本製紙グループの日本製紙クレシア(東京都千代田区)は20日、ティッシュペーパーとしても使える低価格マスクなどを近く発売し、マスク市場へ参入する、と発表した。大王製紙も10月から販売に乗り出しており、新型インフルエンザの感染が拡大し、予防意識が高まるなか、製紙各社はマスクやティッシュを中心にインフル対策商品の品ぞろえを拡充し、新たな収益源に育てる考えだ。

  [フォト]初の国内発生時には、おしゃれマスクで感染予防する人らも登場

 日本製紙クレシアの低価格マスクは、ティッシュと同じ素材を使い、製造ラインも一部共通化してコストをおさえた。そのため、不織布を使った一般的な使い捨てマスクが1枚20円以上するのに対して、想定価格は24枚入りで300円前後と、大幅に安くなった。

 耳かけをクリップで取り外せ、使い終わった後は残りの部分をティッシュとして使える点も経済的だ。

 厚さをティッシュの2~3倍にして耐久性を向上。顔にフィットするよう折り目をつけるなど、使い勝手にも配慮した。「一般的な使い捨てマスクは毎日使うには価格が高く、1枚を長く使うと非衛生的」として、低価格品のニーズを掘り起こす。

 このほか、ディズニーキャラクターなどの絵柄をプリントした不織布マスクや、抗菌効果のある成分を配合した3枚重ねのティッシュ、手洗い後に使う紙製ハンドタオルなども投入し、販売面での相乗効果を狙う。

 製紙会社は、大王製紙も10月下旬に4商品を発売し、市場参入した。うち1商品は、ティッシュに採用しているメントール成分を配合。清涼感があり、着用時に息苦しくない点を消費者にアピールしていく。

                   ◇

【予報図】

 ■インフル需要 相乗効果狙う

 製紙業界は、景気悪化に伴う深刻な紙需要の低迷に苦しんでいる。そんな中、需要が急拡大し、ティッシュの販路や製造ノウハウを生かせるマスクは、売り上げの底上げが期待できる数少ない有望商品といえる。

 マスク単体の売上額は小さくても、それ以外の新型インフルエンザ対策商品や衛生用品の品ぞろえを広げれば、相乗効果により販売の底上げにつながり、売り上げの貢献度も大きくなる。ティッシュの有力メーカーである日本製紙クレシアと大王製紙にとって、マスク市場参入は「(合わせて買ってもらうことで)ティッシュの販売拡大も見込める」(芳賀義雄・日本製紙グループ本社社長)。

 一方、ティッシュで日本製紙クレシア、大王と並び3強の一角を占める王子製紙子会社の王子ネピア(東京都中央区)は、今のところマスク市場に参入していない。しかし、中長期的にも紙需要の拡大が期待できないなか、今後は同社を含め、インフル対策分野を強化する動きが加速しそうだ。(井田通人)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091120-00000023-fsi-bus_all





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熱にはタミフル?~インフルエンザ [時事ネタ]

ご多聞にもれず、当院でもインフルエンザの簡易検査キットのストックがほとんどありません。
一時は10~20しかない、というときもありました。
今は、入院治療が必要なレベル、等医師が必要と認めない限りは検査をお断りしています。

一方で、感染症学会が疑い例も含めて抗ウイルス薬を投与しなさい、と提言したので、発熱などで受診された方には片っ端から「早期投与が推奨されてますが、どうしますか」ときくようになりました。
検査で陰性だけど実はインフルエンザ、せいぜい37℃台だけどインフルエンザ、下痢だけどインフルエンザ、今のところ咳や鼻水だけだけどインフルエンザ、扁桃炎だけどインフルエンザ合併、などなど、いくらでも可能性があるので呼吸器症状、消化器症状の方がインフルエンザではないことを証明するのは事実上不可能だからです。

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日本感染症学会は15日、新型インフルエンザ感染者の重症化を避けるために、持病のない成人、子どもらにもタミフルなどの抗ウイルス薬を早期に投与すべきだとする提言と診療指針をまとめた。持病のない成人への投与は不要とする世界保健機関(WHO)の見解について、海外で死者が多数出たことから「危険」と指摘した。

 提言では「新型は弱毒で季節性と変わらないので厳重な対策は緩めていい」という国内の一部意見について、「誤り」と指摘。タミフルなどの抗ウイルス薬について「診断で感染が疑われた場合は、可能な限り全患者に早期から投与すべきだ」と結論づけた。簡易診断キットでは見逃しもあるため、仮に陰性でも症状からインフルエンザが疑われたら投与が必要と定めた。

 タミフルの積極的な使用については、耐性ウイルスの発生や、10代の患者の異常行動が指摘され、慎重論もある。しかし、提言や指針では、重症化して死亡することを防ぐことのほうが重要と結論付けた。

 WHOや米疾病対策センターは持病のない患者への使用は不要としている。感染症学会の新型インフルエンザ対策委員会座長の渡辺彰・東北大教授は「海外と比べて日本の致死率が低いのはタミフルの早期投与によるものだ。抗インフルエンザ薬の備蓄は5千万人分以上あり、早期投与で重症化を防ぐのが一番重要」と話す。

 指針と提言は、同学会のホームページで公開を始めた。
http://www.asahi.com/national/update/0915/OSK200909150134.html?ref=doraku

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そこへ来てこんな報道があったりして。

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新型インフルの小1男児死亡=最年少、脳症で
 滋賀県は22日、新型インフルエンザに感染した同県守山市の小学1年生の男児(7)がインフルエンザ脳症で死亡したと発表した。新型に感染したか感染の疑いのある人の死亡は18人目。男児が最年少で、小学生では2人目となった。
 同県によると、男児はこれまで数カ月に1度熱を出すことがあり、周期性発熱症候群の疑いがあると診断されていた。19日朝から発熱し受診したものの、インフルエンザの検査は行われず、解熱剤を処方され帰宅した。翌20日に40度の熱を出して別の診療所を受診。簡易検査でA型インフルエンザ陽性となり、けいれんなどの症状が表れたため病院に入院し、タミフルを投与されて人工呼吸器を着けた。容体が悪く、同日夜に滋賀医大付属病院に転院したが、21日夜、死亡した。
 インフルエンザ脳症では、強い解熱剤成分が症状を悪化させることが分かっており、日本小児科学会が注意を呼び掛けている。今回処方されたのはアセトアミノフェンで、同県は「適正な薬だった」としている。(2009/09/22-14:13)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009092200070

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亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。


有名ポータルサイトのコメントをみて、一般的にはこんなふうに受け止められるんだなぁ、と。

発症初日に診察した医者はなぜインフルエンザの検査をしなかったんだ!
→インフルエンザの検査は発症12~24時間で陽性になるとされているので、おそらく検査するには早すぎると思われます。というそもそも批判されるには当たらない事柄。
検査キットが足りていても、在庫は残しておきたいし、求められた数だけホイホイとこなすには相当なマンパワーが必要です。
政府は早めの受診を勧めているようですが、医療機関としては早すぎる受診が多いし、待合は患者同士でうつしあう格好の伝染の場だし、政策にはそういう視点が必要です。

解熱剤のせいで悪くなったんだろう!
→当初「アセトアミノフェン」の記載がなかったためとは思われるのですが、そうであったとしても思い込みによる書き込み。
日本という国では、発熱の診療で「解熱剤はくれますか」と言われることはあっても、「解熱剤は要りません」と言われることはほとんど皆無です。
し、発熱のせいでぐったりするようであれば解熱剤に頼るのは悪いことではありません(日ごろから全科当直してますから、もちろん熱が出る原因とか、39℃でも元気にしている子に使う必要がないことは重々説明しています)。

発症翌日にはタミフルの投与も始まっています。通常のインフルエンザ診療であれば、医療側の過失は指摘できない経過です。
季節性インフルエンザでもこのように急速に病状が変化することがあるのか、新型だからなのかまでは私にはわかりませんが。

最初に診た診療所の医師は信じられない!
→結果からは、そう思われてもしかたがないかもしれません。

冒頭にも書きました通り、発熱、呼吸器症状、ときには消化器症状で受診されたら、インフルエンザではありません、と断言することはなかなか困難です。
最近の診療では、「従来なら『喉が赤いから風邪から来る熱でしょうね、症状に合わせた薬を出しますので様子を見てください』と言うところですが、インフルエンザを疑う症状があればタミフルを早期投与しなさい、ということになっています。」
これに引き続きタミフルを飲むことの意義、異常行動とタミフルとの因果関係ははっきりしない、云々カンヌンをみーんなにお話ししているわけです。

ただの風邪だろうなぁ、と思いながらタミフルを出した人は数知れず。
でも、発症数時間で受診の方でもタミフルを出しておかなければ、上のように報道され、地域やウェブなどで私刑にさらされる現状。

命が失われることは大変悔やまれることです。
しかし、この国の安全神話は空恐ろしいですし、インフルエンザの第2、第3波が来た時にタミフルの在庫や耐性の問題は大丈夫なんだろうかと不安になります。





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定額給付金~景気対策という名の選挙対策 [時事ネタ]

定額給付金の申請用紙が届きました。
2/1現在の状況で決まるので、うちの子はぎりぎりセーフ、えらいえらい。
というのは表面的な感情として。
一納税者として、他の人が受け取るものをあえて突っぱねても損をするだけなので、申請するはするのですが。


申請書書いてて、なんだかむなしくなりましたよ。
政治家の人気取りのために製紙業界、印刷業界、郵便局が儲かり、巨額の税金を費やして、結局ツケを払うのは子どもたちなんですから。
お宅では誰が該当して、それぞれいくらです、って書いてくるぐらいなら最初から税金から控除しろ!って。


先日新聞を読んでいたら、
A党が「子育て支援費を2,3年間給付する」と言ったら、
B党は「2,3年配ったらその後も続けなきゃいけなくなるからダメ」と答えたそうです。
子育て支援は、選挙のある年に、単発でやらなきゃいけないそうなんですよ。

所詮、政治家にとって税金の使い道は選挙対策か、と。


医療畑の人間なので医療の話ですが、毎年毎年2200億円ずつ医療費を削る、ということが行われてきました。
病院経営が成り立たなくなり、地域医療崩壊の一因になってきました。
そこでどうするかって、2200億円削ることは削るけど、医師不足対策にいくら、救急医療対策にいくら、補助金を出すからあとはなんとかやってね、ということをやってきたわけです。

話を元に戻して、定額給付金、その予算2兆円だそうです。
そのお金、2200億円で割って9年分ですけど。
医療崩壊は建前上取り繕う程度で、一方選挙対策には糸目をつけない、どうしてこんな愚策が通るのか理解できません。







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共通テーマ:日記・雑感

東京の妊婦死亡事例について [時事ネタ]

いまさら周回遅れですが。
後期研修医の立場で、東京で起きた妊婦さんが脳出血で亡くなった件について書いてみたいと思います。

「墨東病院でさえも後期研修医が一人当直してるの?!」ということが衝撃的でした。
総合周産期母子医療センターに指定されていること、さらには、マンパワーの面で立ち行かなくなって指定の返上を申し出ていたことは後に知ったところとして、ハイリスク分娩を受け入れている大病院で後期研修医が一人当直せざるをえない状況が、そもそも異常事態です。

産婦人科は内科系・外科系という分け方では外科系にあたるわけですが、外科医に求められる条件のひとつは「出血を止められる」ことだと思います。
手術自体がチンタラチンタラ遅くてもなんとかなりはするんですが、とにかく出血が止められないことには、患者さんの命を脅かすことになります。
一般的な外科では大量出血する場面は手術中以外にはほとんどありません、上級医の支援なく後期研修医だけで手術適応を判断、手術することは通常ありません。
が、産科というのはどれだけ安産であっても間違いなくそれなりの量の出血があります。まして緊急帝王切開や産後の弛緩出血など、上級医を待つだけの一刻の猶予を許さないことがあります。
そういう点で、産科医は「平時」でも他科にはない超緊急事態と隣り合わせにあるといえます。

我が同期を含めて、産科を選んだ後期研修医は、すごいなぁ、と思うんです。
そもそも学問的興味が向かなかったのですが、医学的にも、妊婦の家族の感情的にも、世間の見る目にも、ハイリスクな産科を、自分の進路に選ぶことはありませんでした。
我が子が医者になるって言い出したらどうしようかなぁ、と思っています。
まして、世の中が現状のままで、産科医になるって言い出した日には反対せずにいられるんだろうか・・・。

亡くなられた妊婦さんのご主人が、当直医だった後期研修医のことを「今回のことで傷ついて産科医を辞めてしまうようでは意味がない」とおっしゃっていたそうです。
今回、確かにキャパシティーを超える母体搬送の要請を断り、搬送先の決定に時間がかかってしまいました。
しかし、これまでも彼・彼女は何十の母児の命を守ってきたのであり、これから何百、何千の母児の命を守り続けられる存在です。

どうか、彼・彼女のその尊い意志がくじけることのないように願ってやみません。

最後になりますが、亡くなられた方のご冥福をお祈りし、誰かを責めることなく産科医療の充実を願っていらっしゃるご主人にお悔やみ申し上げます。





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福島県立大野病院産科医 無罪 [時事ネタ]

遅れ馳せですが、昨日は当直明けの上に手術で心身ともに疲れて思考停止してたもので。


まず、亡くなられた方のご冥福をお祈りします。


無罪判決が出て、ほっとしたというか、当然というか、そんな印象です。

第一には、最善を尽くしても救命できなかった「病死」が「過失致死」として刑事事件になったこと。
第二には、癒着胎盤と診断した時点で問答無用で子宮摘出、と検察が主張すること(もし有罪となれば、判例として事実上子宮摘出が義務付けられるわけです)。
視点は違えど、日本全国の医療従事者、とくに医師が注目し、警察・検察に異をとなえ、被告を支援した事件でした。

なかには訴追自体には問題ないという一般の方もいらっしゃいますが、これは民事ではなく刑事です。
専門家が見て誤りを指摘できない、最善を尽くした、逃亡の恐れのなかった事例で逮捕、起訴されるのは異常です。
自分の良心に従って危険を承知で仕事(この場合は医療)をする!逮捕、拘留されてもいい!なんて、常人の思うことではありません。

いまだ身内のかばいあいと見る方もいます。
医事紛争で、医療従事者がこれだけ大きな反発を示したことはほかにありません。
取り違え、薬剤量の誤り、手術操作による血管損傷などさまざまな報道がなされる中、医療従事者はそれらに対して逐一「過敏反応」を示しているでしょうか。
本件が有罪となっては、常に片手に手錠がはめられている状態で仕事をしなければならなくなるという危機感の表れです。

センセーショナルな決め付け報道を発したマスコミにも猛省を求めます。
医療の自浄作用や医師の資質を問う前に、己の医療・福祉たたき(産科、コムスン、救急、次はどこだ?)を反省し、自社批判記事を書いてください(新聞紙面1ページ分くらいにはなるはずですけど)。
(これだけ大々的に認識されているのは、逆にマスコミが墓穴を掘ったとも言えると思っています。
報道当初のもくろみでは、恰好の医者たたき記事が書けるはずだったんですから。)

公判で検察の主張が事実に合わないことが弁護側に明らかにされていました。
また、一個人の責任追及に終始していてはますます医療崩壊を促進するだけです。
検察は控訴しないことを望みます。




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クモ膜下出血 [時事ネタ]

見落としとか、見逃しとか。

学会の意図とは裏腹に、
けしからん!
頭痛の診療は全例CTだ!
CTがとれない病院での頭痛の診療は犯罪行為だ!
という世論が形成されそう。

2008.07.08.追記
脳神経外科Dr.のレクチャーで紹介されたエピソードですが。
軽い頭痛で受診、念のためCT撮影。
ダビデの星(国家試験に出てくる有名な所見)はなかったが、シルビウス裂や脳溝が両側対照に高密度にうつってきた。
普通、医者は「頭のCTは左右を比べながらみなさい」と教わっているので、両側対照の脳脊髄液の高密度に気付くことは、かなり難しい。
症状と、クモ膜下出血という診断のあまりの乖離に、腰椎穿刺で髄液に血液が混じっていることを確認して、確定診断としたそうだ。
脳神経外科医が「カン」でCTを撮って、自ら読影したという偶然が重なって診断に至った一例。

クモ膜下出血に限らず、どれだけ機器が進歩しても「誤診」はゼロにならないんだけどなぁ。

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くも膜下出血、5~8%見逃す可能性…風邪や高血圧症と診断
7月7日21時48分配信 読売新聞


 くも膜下出血の患者のうち約5~8%が、最初の受診で風邪や高血圧症などと診断され、出血を見逃される可能性のあることが、日本脳神経外科学会の調査でわかり、7日に記者会見で発表した。

 激しい頭痛があれば、コンピューター断層撮影(CT)検査をするが、軽い頭痛程度の患者まで全員を検査できない、という。こうした見逃しの確率が示されるのは珍しい。

 同学会は昨年1月から今年5月に宮城県内の病院に入院したくも膜下出血の患者198人について、確定診断を受けるまでの経緯を調べた。開業医などの初診では、頭痛や肩こりといった症状を訴えた10人は風邪や高血圧症などとされ、CT検査もなかった。

 また、1996年から05年に山形県内の病院に入院した患者293人中23人も宮城と同様だった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080707-00000047-yom-sci

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<くも膜下出血>初診6.7%見落とす 学会調査
7月7日21時56分配信 毎日新聞


 くも膜下出血の患者のうち、脳神経外科医以外が初診した6.7%が風邪などと診断され、事実上、病気を見落とされていたことが7日、日本脳神経外科学会の調査で分かった。患者が軽い頭痛しか訴えなかったことなどから、くも膜下出血を発見できるCT(コンピューター断層撮影)を実施していなかった。同学会は「軽い頭痛の患者全員にCTを行うわけにはいかない。現代医療の限界とも言える」としている。

 同学会学術委員会の嘉山孝正・山形大教授らが、宮城県と山形県の2病院で、脳神経外科のカルテ全491例を調査した。

 宮城県は07年1月~08年5月が対象。198例中37例が脳神経外科医以外で初診を受け、うち10例(5.1%)が風邪、高血圧、片頭痛などと診断されてCTを受けず見落とされた。10例すべてが再発し2例が死亡した。

 山形県は96~05年が対象。専門医以外の初診は293例中48例で、23例(7.8%)が見落とされ、すべてが再発し2例が死亡した。

 見落とし計33例のうち17例は、くも膜下出血の常識に反して発症時に軽い頭痛しか起きておらず、委員会は「専門医以外では他の頭痛と区別できない」と指摘。他の16例も「診断が難しい例がある」とした。山形県では脳神経外科医でも見落とした軽度頭痛の患者が1例あった。

 米国では5~12%の見落とし率という報告がある。嘉山教授は「くも膜下出血の診断は難しく、完ぺきな診断はできない。現代の医療でも見落としは不可避という現実を周知し、脳ドックの普及など社会全体で対策を考えるべきだと思う」と話している。【奥野敦史】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080707-00000129-mai-soci





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再診料下げ―朝日新聞社説 続編 [時事ネタ]

マスコミなんて、国家政策を疑ってかかることもできない人たちの集まりなんですよね。
そんな人たちに「ジャーナリスト」を名乗る資格はないと思うんですが。

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再診料下げ―見送りは既得権の温存だ

 診療報酬の改定を進めている厚生労働省が、開業医の再診料の引き下げを見送った。日本医師会から強く反対されたからだ。
 いま医療の現場で深刻なのは、病院で働く医師が過酷な仕事に耐えかねて、やめていくことだ。これに歯止めをかけるには、勤務医の待遇を良くしたり、人数を増やしたりする必要がある。
 その具体策の一つとして考えられたのが、病院よりも高い開業医の再診料を引き下げ、その財源を勤務医に回そうというものだ。厚労省はそれを中央社会保険医療協議会に提案していた。腰砕けは残念というほかない。
 初診料は開業医も病院も同じだが、2回目からの診察にかかる再診料は開業医が710円、病院が570円だ。
 医師会が再診料の引き下げに反対した理由は、「開業医が疲弊すれば、地域医療は崩壊する」というものだ。地域医療を担っているのは開業医だから、優遇されて当然という理屈だろう。
 しかし、これはおかしい。地域医療は病院も同じように担っている。開業医といっても様々で、都心のビルで昼間しか診療しない開業医もいる。
 医療の財政が苦しいなか、医師会がいつまでも既得権にこだわるのは理解に苦しむ。
 厚労省は再診料引き下げを断念した代わりに、再診時に上乗せする「外来管理加算」などを見直し、開業医の収入から400億円余りを引きはがした。昨年末に決まった診療報酬全体の引き上げ分約1000億円余りと合わせ、産科や小児科を中心とした病院の勤務医対策にあてる。
 確かに、病院側は総額1500億円の勤務医対策で一息つける。しかし、大都市の病院ですら医師不足は深刻で、この程度の対策で勤務医不足が解消するとはとても思えない。
 開業医の再診料に手をつけていれば、もっと多くの財源をひねり出すことができた。それを突破口に、開業医と勤務医の役割分担やそれぞれの待遇のあり方を改めて論議することもできたはずだ。
 もちろん、やみくもに開業医の報酬を削れと言っているのではない。夜間・休日診療や往診をして地域の医療を支えている開業医には、もっと手厚く配慮した方がいい。開業医の中でもメリハリをつける必要がある。
 一連の動きの中で見逃せないのは、医師会が自民党を動かし、自民党が厚労省に働きかけるという旧態依然たる構図が見えたことだ。
 再診料の引き下げをのめば、医師会の執行部は会員の支持を失うと危機感を持ったのだろう。一方、解散・総選挙を控え、自民党は医師会の支持をつなぎとめておきたいと計算したに違いない。
 だが、こんなことでは福田首相も自民党も、国民に信頼されない。本気で医療の立て直しに取り組むなら、医師会の既得権に踏み込むことが避けられない

http://www.asahi.com/paper/editorial20080202.html

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ある会社の社長さん、年収2000万円。別段驚くこともないでしょう。
ある会社の社長さんである開業医、年収2000万円。驚くことないはずなんですけど。
開業医が高収入であること、そんなにいけませんか?
サラリーマンである勤務医より、社長である開業医の方が高収入なのは当然です。
サラリーマンは住宅ローンぐらいですむかもしれませんが、社長さんは家賃や設備投資などの借金や経営上のリスクがあるわけですし。

> 初診料は開業医も病院も同じだが、2回目からの診察にかかる再診料は開業医が710円、病院が570円だ。
医師会が再診料の引き下げに反対した理由は、「開業医が疲弊すれば、地域医療は崩壊する」というものだ。
地域医療を担っているのは開業医だから、優遇されて当然という理屈だろう。

診療報酬=医師の収入ではありません。
710円なり570円は、医師、看護師等の国家資格を持った専門職や事務員の人件費、光熱費など です。
1時間に10人診たとしても、7000円ほどにしかなりません。
それほど大きな批判を受けなければならないほど高額とは思えません(諸外国と比べるならば格安です)。
厚生労働省とその受け売り情報しか流さないマスコミは710 - 570 = 140円の差額も患者が病院に集中している一因だ、などと言っていますが、それも見当はずれです。
だって、そんなこと知ってる人、あなた、そしてあなたの周りにいますか?
実際に窓口で払うのは、3割負担の方でも40円の差にしかなりませんし。

「開業医は優遇されて当然」なんて受け止め方はへ理屈です。
医療にお金をかけなさすぎなだけ、病院の診療報酬を増やせばいいことなのです。

> 開業医といっても様々で、都心のビルで昼間しか診療しない開業医もいる。

> もちろん、やみくもに開業医の報酬を削れと言っているのではない。夜間・休日診療や往診をして地域の医療を支えている開業医には、もっと手厚く配慮した方がいい。開業医の中でもメリハリをつける必要がある。

正規の労働時間を順守する、昼間働いて夜は休む、そんな当たり前のはずのことが、なぜ医師に限っては糾弾されなければならないのでしょうか。
飲食業などの業種では、稼ぎ時だから、自主的に、夜間・休日に店を開けています。
一方で、医療では、国家政策的に、夜間・休日労働をしなければ正当な診療報酬を受けられないようにしろ、というわけです。この主張は十分に「やみくも」です。

そもそも夜間・休日に救急病院におしかけてくる軽症患者が多すぎることが問題です。
そしてそれを開業医が診れば勤務医の負担が軽減される、という論理が短絡的です。

現代の日本人は自然治癒力という言葉をすっかり忘れてしまっています。
よほど具合が悪くない限り、たいがいの風邪は家で安静にするのが一番なのです。
ところが仕事を休めないからと夜間に受診し、ありもしない「一発で治る薬」を求める。
このような本来必要のない「救急」受診や、「風邪ぐらいで休むな」という日本の社会、企業風土を戒めることこそが求められているのであって、医療のコンビニ化を求めるのは方向性として誤りです。

国民皆保険を守り、医療崩壊を食い止めろというのなら、机上の論理で限られたパイ(=財源)の取り合いを促すのではなく、現場の発想でパイを増やしてほしいものです。


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