SSブログ

"home" [おしごと]

医者になって最初の半年は、系列の病院でのスタートだった。
今の病院に本拠を移して、間に診療所や精神科研修をはさんで2年半。
職員ほぼみんなが顔見知りの環境から今の環境に移ったばかりのころは、規模の大きさゆえの人間関係の希薄さを勝手に感じたり、なにせ某内科病棟の雰囲気が恐かったものだった。
幸いローテート終了とともにその病棟ともおさらばして、他の病棟はもっと和やかだということを知っていくのだけれど。

初期研修を終えて、流れに逆らわなかったらそのまま外科へ。
内科の先生には「内科どう?」って誘ってもらってたけど、「でもセンセーは外科だからねぇ」って。
「外科好きです」とか「外科いいなぁ」程度のことは言ったけど、実は、「外科にお世話になります!」って宣言した記憶は、ほんとはない。

それまで内科医になるものと思っていた自分に「外科いいなぁ」と思わせたのは学生実習だった。
猫の手も借りたい症例の多い市中病院だったので、学生も第2助手。
ただ、朝から晩まで手術して、夜もケイタイに問い合わせがあって、もちろん当直もあって、休まるときがあるんだろうか、という不安があった。
大学のナンバー外科医局に入る度胸は今でもないし(笑)。
つまるところ、外科医になるのは、家庭をかえりみることが許されるという条件つきだった。
マンパワー不足ゆえのたびたびの休日勤務あり、満足とはいかない。
けど、時間外は基本的に日直・当直医が対応してくれて、休日でも毎日顔を出すことを強要されない環境は、勤務医、とくに若手としてはありがたいほうだと思う。

この1年間、1年通して同じ科、同じ病棟というのははじめてで、異動がない安定感あり、一方で、どんなに重症で先の見えない患者さんにも最後まで責任を負い続けるプレッシャーありだった。
(初期研修の1~3ヵ月ごとのローテート:適性とは無関係な配置転換はもっともシビアな労働条件のひとつだと思う)
やってみたら結構楽しいものだった。
とか書きながら、こじれた方、亡くなった方、治らない癌に思い悩んだことを思い出したけど。

来週から、2年半ぶりに、医者としてのお作法を教えてもらった最初の病院で研修。
2年半同じ病院、1年間同じ上司、同じ病棟スタッフ、同じ手術室スタッフに囲まれて、今となってはここが"home"なんだなぁ。
週に1回の外来単位は残してもらって、癌患者さんの定期フォローはさせていただくつもり。
人生を大きく左右する、ときには命を奪う病気がきっかけというなんとも複雑なご縁、一部ながらもその方の生涯に責任を負い続けたいし、患者さんには悪いけど、自分自身の経験値を上げるために、抗癌剤の使い方や、癌患者がよくなったり、最終的には亡くなっていく経過を肌で感じて、学ばせていただくことも必要(ガイドラインの一歩先行く治療を、上司と相談しながら、しているので医療レベルについてはご心配なく)。
初対面の時には平たく言えば「この若いのが主治医??」という態度だった患者さん、ご家族が、1ヶ月近い入院生活を経て、若造相手に「調子よくなかったんだけどセンセーの外来の曜日まで我慢してたんだよ」とか「いなくなっちゃうなんて困ったわねぇ」とか言っていただけているのは、身に余る光栄と思っています。
だって、別の曜日にこそっと外来に来て、別の先生に「これからよろしくお願いします」っていうこともできるわけだから。

異動は当初予定1年間だったけど、半年程度に短縮の予定。
通勤に倍の時間がかかるようになるのと、上司の「俺がこういうんだからこうなんだよ」的な性格にどう対応していくか、ぐらいしか不安な要素はないけど。






nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。