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守秘義務という視点で~奈良妊婦死産2 [時事ネタ]

こちら(http://blog.so-net.ne.jp/side_B/2007-08-31)の続編です。

「昨日の晩から出血している」「流産の可能性がある」
やはり、この方には子どもを大切に育てようという気はなかった、と思わずにはいられない。

話題の焦点とはまったく違うのだが、公務員である消防署員の守秘義務についてはかねがね疑問に思っている(救急隊が悪い、とかそういう責任論のことを言いたいわけではまったくない)。
私は、もし消防署のご厄介になることがあっても、自分が災害で救助されたときや救急搬送されたときの状況を事細かに公表されたくはない。
震災でお子さんを救助したレスキュー隊員や今回の救急隊員は、本人や保護者の同意を得てインタビューに応じているのだろうか。
今回死産した方は、このような形で世間が大騒ぎすることを望んでいるのだろうか、それとも居室から出ることもはばかられるような生活を送っているのだろうか。

医療職では、医師の守秘義務は刑法、保健師・看護師の守秘義務は保健師助産師看護師法、・・と各職種守秘義務を課せられており、公務員も国家公務員法・地方公務員法で職務上知りえた秘密は守らねばならない。
隠蔽だと罵られても、患者の秘密は、司法等の例外を除いて、守らねばならない。

我々医師は、交通事故で救急受診された場合など、警察が相手であっても、本人の同意なく第三者に事情を話すことはない。

なぜ、救急隊員は感情を吐露して「苦渋」であって、医療現場で修羅場をかいくぐっている人間は限定的な状況説明をせざるをえず、その上「言い訳」と罵られねばならないのだろうか。

繰り返すが、マスコミは現役で現場を支えている産科医や、これから現場を支える後継者の芽を摘んではならない。
正当な検証なく我先にと「受け入れの余裕があった」など悪意に満ちた報道をし、日々奮闘している医師を一夜にして日本中のさらし者にしていては、ますます産科医の志をへし折り、安心して子どもを産めない世の中をつくっていくだけなのである。

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「苦渋…」妊婦死産 搬送の救急隊員語る
9月6日13時11分配信 産経新聞

 奈良県橿原市の妊婦(38)の受け入れ病院探しが難航し、死産した問題で、救急車で妊婦の搬送に当たった中和広域消防組合・橿原消防署の中村寿孝消防士長(32)が5日、産経新聞の取材に応じ「すぐ運びたかったが、受け入れ先がなく、動けなかった」と悔しさを語った。千葉市内でも最近1年7カ月の間に45人の妊婦が救急搬送の受け入れ拒否にあっていたことも判明。周産期医療体制の問題の根深さが改めてクローズアップされている。
                   ◇
 ■「受け入れ先なく動けなかった」「急ブレーキ避け徐行したが…」
 「橿原市醍醐町のスーパーで急病」。同組合通信指令課から同署に搬送指令があったのは、8月29日午前2時47分。運転担当の中村さんは、救護隊長や救護員とともに1分後には救急車に乗り込み、4分後に現場へ。スーパー入り口前のベンチで横になっていた妊婦は「昨日の晩から出血しています。痛い…」と訴えた。
 「流産の可能性がある。産婦人科のある病院を手配してほしい」。指令課に連絡し、すぐに妊婦を救急車に乗せた。
 ほどなくして指令課から「奈良には病院がないので大阪をあたる」と連絡があった。この後延々と病院探しが始まった。
 「遠くなって申し訳ないが、大阪になりそうです」と隊員が告げた。付き添いの男性は「一度家に帰って朝に近くの病院に行きたい」と答えた。だが「流産の可能性がある。このまま病院に行った方がいい」と説得し、妊婦も「病院へ」と訴えた。
 だが、搬送先はなかなか決まらない。
 「現在の状況を!」(救急隊員)
 「〇〇病院に交渉中」 「処置中ということで無理だった」(指令課)
 こんなやりとりが何度も繰り返された。
 隊員は「なかなか決まらず、すみません」と妊婦に話すと、妊婦は小さくうなずきながらじっと待ち続けたという。
 「大阪の高槻病院に連絡がついた。搬送してください」。約1時間半後の同4時19分、中村さんはハンドルを握った。隊員が「これから搬送します」と妊婦に伝えると、付き添いの男性が安堵(あんど)の表情を浮かべた。
 同4時半、妊婦が突然「出る、出る」と苦しみ出した。少量の出血。隊員は「ゆっくり深呼吸して。今病院に向かっているから落ち着いてくださいね」と声をかけた。

 同5時6分に破水。そのすぐ後に、救急車は高槻市内の国道交差点で軽乗用車と衝突した。事故直前、雨が激しくなり、視界が悪かったという。
 「交差点で急ブレーキをかけると妊婦に負担をかける。少しずつ徐行しながら交差点に入ったときだった」と中村さん。「高槻消防の救急車を呼んだので移しますね」と妊婦に説明した。
 同7時ごろ、中村さんら隊員は高槻病院へ行き、付き添いの男性に謝罪。消防署の連絡先を記したメモを手渡した。
 「患者の不安や痛みを少しでも和らげるためにも、受け入れ先がすぐに決まるようなシステムにしてほしい」。中村さんは、切実に語った。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070906-00000925-san-soci
出典が見つからなかったのでYahooのURLで。


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