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ジェネリック(後発医薬品) [お医者のキモチ]

大部屋の入院患者さんと話していて、薬代だったかなんかの話から
「ここの病院はジェネリックが多いんで・・」と言ったら、
部屋中が「それはいいことねぇ」という展開になり、
「一概にそうとも言えないですよ・・」と言っても
「安いほうがいいのよ」となってしまいました。

有名人を起用した製薬会社のCMあり、政策的な誘導あり、一般的なイメージではジェネリック(後発品)は良いもの、先発品はなんだかよくわからないけど高い薬、なんじゃないでしょうか。
例えば1錠100円、というと、患者さんの経済的負担の大きさは相当なものです。
後発品が採用になるたびに周知されるのですが、実際、先発品の半額近くなることがあります。

試みに
同じ成分♪同じ効き目♪
と豪語している某製薬会社のホームページを訪ねてみました。

「医療関係者向け」ページでいろいろな薬剤の情報が閲覧できますが、
その中で先発品との比較資料となりそうなものは「同等性資料」、「溶出試験」の2つ。

・いずれも全部の薬剤について閲覧できるわけではありません。

・ここでいう同等とは、「先発品と同等の血中濃度を示した」ということです(内服薬、注射薬については10~20人程度に内服、あるいは筋注して、時系列で血中濃度を比較する)。

・溶出試験とは、薬剤をいろいろなpH下において、先発品と同等に溶け出したということを示す資料です。

もちろん 同じ成分♪ なのでしょうが、
実際の患者さんに投与して、先発品と同等の効果であった、という試験はありません。
これで 同じ効き目♪ と言えますか?

風邪薬程度なら、「安いに越したことないか」でも、まだいいかもしれません。

外科(に限りませんが)では、抗癌剤を扱っています。
後発品に変更してよいかという提案に対して、
「患者さんが人生かけてる薬を後発品に変更して、もし『先発品のほうがよかった』なんてことになったらどうするの?」
という声があります。
循環器科など、他科でも同じような例がいくらでもあると思うのです。

患者さんの経済事情、国家の財政事情という側面では安いに越したことはありませんが、それが必ずしも全面的に患者さんの利益になっているとは限りません。


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