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年上の後輩 [おしごと]

異動前の病院に、週1回の外来と、救急外来応援に行ってます。

そちらでの、ある日の救急外来での出来事。
それまでは落ち着いていたが、立て続け3件の要請を受けることになる。

歩ける頭痛という触れ込みの1人目到着。
旦那さん曰く頭痛を訴える1時間前から話が噛み合わなかったらしい。
それは意識障害というのですよ。>救急隊
受け入れてほしいがために黙ってたのかもしれないけど。
ざっとした診察上は明らかな麻痺はなかったが、CT,MRI所見から後に脳梗塞と診断。
確認の意味合いで改めて診たら、視覚障害が疑われた。

1人目の診察中に2人目到着。
腹痛とはきいていたけど、ベッドでのたうち回って診察どころじゃない。
まず鎮痛薬と検査の指示。
後に胆石発作と診断。

そうこうしてる間に3人目到着。
意識消失、低酸素の触れ込みで、緊張が走る…のも束の間、意識は回復傾向、低酸素も軽快傾向だった。
高齢者の意識障害…指示が入らず、診察から有益な所見は得られず。
少なくとも起座呼吸なし、胸部異常所見なし。
後日談では陳旧性脳梗塞による晩発性痙攣疑い。

2番目の方が落ち着いたようなので診察。

検査が出揃った1番目の方に病状説明、要入院と告げたところで交代の時間になったので、「年上の後輩」に申し送りした。
3番目の方は頭からくるものだろうと話すも、心不全だという後輩。
症状、経過から頭のほうがより疑わしいと話す。
頭蓋内病変疑い 心原性?と初期診断を記載した。

2番目の方のCTも自分で観て、親御さんに、胆石発作疑いと告げる。
まだ帰れそうになく、ざっとした話しかしないつもりが「どうしたらいいんですか」「どんな手術ですか」などなどいろいろいろいろきかれる。

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「なんで心不全は否定的なのか、ちゃんと話しておいたほうがよかったかな」という思いを胸に、週に1度の外来の日を迎えた。

夕方、医局で彼を呼び止めた。
なぜ心不全だと思ったのか。
突然の意識消失で発症、起座呼吸もなく、無治療で軽快傾向がみられた経過からは一番目に挙げる鑑別疾患ではないだろう。
彼は「○○病棟に入院して様子をみたようですよ」と。
私が話しているのは結果ではない、そこに行き着くまでのプロセスだ。
心不全なら肺鬱血、呼吸困難、低酸素→→→意識消失の順になるはず。
「そのときの診断ではなくて、基礎として心不全がありそうだと言ったんです」
(本当にそうだったのかどうかはともかくとして)それなら、私の思い違いだったんですね、と応じた。
その日のもう一人の科長クラスの当直医も、その場を収めようと、状況説明をしてくださった。

が、科長が離れた直後、彼の猛攻、迷走が始まった。
「だいたいなんでこのタイミングでわざわざ引き止めてこんな話をするんですか。『心不全』って言われて自分が否定された気になって、それでこうして引き止めてるんですよね」
「あなたのしたことを何も否定してない(私のCT+MRIの指示を消さなかった)じゃないですか。何も流れを乱してないじゃないですか」

あくまで病態の理解を促したまでで。
医者にとって知識を整理するということは、自らの未熟さ故に患者に害が及ぶのを防ぐことを意味するのである。
そもそも、「答え合わせ」でも私の初期診断が支持されているのに、オーダーを消されたら私以上に患者に迷惑だ。

「『心原性?』ってわざわざ書きましたよね」
と突っ掛かってくる。

べつに彼のアセスメントに「?」を付けたわけでも、彼に配慮したわけでもない。
急激な心拍出量低下から自力で復活した可能性だってないではない。

「思い違い」の一点ですむ話だと何度言っても、彼の「反撃」は止まらない。

果てはどういうつながりからこういう話になったのか「救急外来はギスギスして、みんな擦り切れそうになりながら働いています。私にはそれが悲しいんです。みんなが気分よく働けることを考えて私は働いてますよ」
「私言われましたよ。胆石の方の親御さんに『あの先生は若くて、ちゃんと説明してくれなかった』って」と私批判に転じる始末。

人間関係ももちろん大事だけど、そもそも医者にとって診断力の欠如は罪なのであって。
たとえスタッフが忙しくてギスギスしても、目の前の患者に迅速に対応すること、次の「本物の」救急患者を受け入れるスペースを確保することが、任務であり、患者側のニーズなのであって。
彼のためにフィードバックしたはずが、威厳を保とうとしているとあらぬ誤解をされた上、人格批判で返されてしまった。
そこには、本当の意味で2次救急対応が必要な方々を立て続けに診ている最中のことだったという配慮もない。

「あなたは私が普段からどう考えて仕事をしているかがわかっていません」

わかるわけないだろ!
ほとんど私的な会話をしたことないんだから。

…まともに話し合える相手ではないことがわかったので、丸く収めることなく、会話を強制終了した。

もう二度とフィードバックなんかかけるもんか。

大学の同級生だってそうだった。
学士入学とか、メディカルスクールとか、社会人経験者を医学部に入れればそれでよいということにはまったくならない。
どんなにがんばったって、一定の割合でこういう方がいるのだ。






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