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集約しかないでしょう~奈良妊婦死産 [時事ネタ]

妊娠7月、38歳と高齢、流産歴のある方が、かかりつけ医もなく、夜中の2時に外出していた。
経済的事情などあれば少々話は変わるが、本当におなかのお子さんを大事にし、誕生を心待ちにしていたのか、正直にいって疑問である。

過労死の労働時間基準を超えて日夜現場を支えている産科医が、今目の前にいる妊婦さん、患者さんに対応するために救急車を断った。
産経新聞は「主張」で
> それにしても、痛みをこらえる患者をたらい回しにする行為は許されない。理由は「手術中」「ベッドがない」といろいろあるだろうが、患者を救うのが医師や病院の義務である。それを忘れてはならない。
http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/shucho/070831/shc070831001.htm
と述べたという。
夜中に病院にいるのは最低限の数の医師であり、手術にあたっては呼び出しで対応しているのである。
手術患者をおいて、今まさに分娩中の妊婦をおいて、救急患者の診察をしろというのだろうか。
信頼関係を築いてきたかかりつけ妊婦を差し置いて、自己管理不十分な妊婦の対応をしろというのだろうか。

奈良県立医大について、毎日新聞
> 最初要請の病院 受け入れに余力
との見出しをつけて
> 病院に受け入れの余力がありながら、消防とのコミュニケーションの不備などで結果的にこの妊婦の受け入れができなかった。
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070831k0000m040119000c.html
時事通信
> 最初に照会を受けた県立医大付属病院の産科医は「断ったつもりはなかった」と話していることが30日、分かった。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_date2&k=2007083000942
と病院に非がある、言い訳していることを印象付けるような記事を書いている。
余力とは、単にベッド状況をさすわけではない。
診察する医師、処置・介助する助産師・看護師なくして、病院はただの箱だ。
修羅場であったのは、救急車の中だけではない。
受け入れ側の病院も修羅場続きだったのだ。
http://www.naramed-u.ac.jp/~gyne/2007.08.28.html  (奈良県立医大産婦人科)
医師の発言が救急隊に字義通り伝わり、救急隊が早とちりしなければ、奈良医大が受け入れた可能性はあったのに、病院側のweek pointばかりを書き連ねている。

一地方で産婦死亡(この件はそもそも救命困難だったと考えられるが)、流産が繰り返されたことは、この間で体制の整備がなされてこなかった、そう簡単にはできないことを表している。
それにしてもしかし、マスコミは自らの報道が国民を反医療に扇動し、現場で踏みとどまっている産科医、救急(担当)医の心を挫き、医療崩壊に加担していることを学習していない。
マスコミは、医療監修をおくべきである。
マスコミの国民のためを思った(自分の名を上げるための??)報道が、医療崩壊を招き、最終的にはまったく国民のためにならないことを、学ぶべきである。

奈良県に限らず、都道府県内で昼夜問わず産科救急、母体搬送を完結するにはどうしたらいいか・・。
集約するほかないと思う。
奈良県で一番医師数が「充実」している医大でも、「この程度」といわれる対応にとどまるのである。

24時間365日ありとあらゆるお産、産科救急、母体搬送を絶対に断らない病院をつくるためには、各都道府県の産科医数、人口分布に合わせて数箇所産科拠点病院を設ける必要がある。
その病院にすべての産科勤務医を集約し、夜間でも常時10人程度の夜勤医師をおく。
住所がどこであれ、妊娠経過が順調であれ、出産時にはすべての妊婦が産科拠点病院に入院する。
個々の病院がマンパワーの範囲で精一杯努力してもそこからこぼれてしまう人がおり、それが酌量の余地のないことなのならば、妊婦側に多少の不便を求めるのもいたしかたない。

・・批判するのは簡単だが、現実に24時間365日対応可能にするためには医師不足の問題をいかにクリアするかにかかってくる。

9/2追記:天漢日乗 様によると、奈良県立医大産婦人科教室への研修希望者が辞退を申し出たとか。
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/09/96_edee.html
後継者の芽を摘むということは、産科の未来を摘むことを意味する。
医学生、研修医だって、医師数抑制政策によって医者全般に無茶な働き方を強いられていること、その最たるものが産科医であり、訴訟リスクが高いことを知っている。
そんな中で、いくらその場で最善を尽くしていても、マスコミやそれに扇動される大衆に言葉尻をとらえられ、言い訳と罵られていては、明日はわが身と心が折れてしまうのもいたしかたあるまい。

身内のかばいあいと一言で片付けないでほしい。
技術的にできない手術を強行した、薬剤・量の取り違えなど明らかな過失がある事件にまで、医療従事者は司法、マスコミに反発を示していない。
本件は、奈良医大産科医の気合でどうにかなった事例ではないのである。


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医師の交代勤務 [時事ネタ]

今日から夏休み。

だけど調子悪い。

だるくて昨日の夜間救急やりたくなかったけど、交代してくれる人もいない、もし交代してくれたとしても、そういう人は十分に過重労働している人なので、無理をおした。
「だるい~」と診察室で声に出しながら、ベッドに寝てる方のデータや画像の解釈をしたり、外で待っている方を呼び込んだりしていたら、「せんせ、あと20分だから頑張って」、「あと10分、もうすぐ交代だからね」と(旦那さんがDr.の)Ns.が教えてくれた。

交代直後にはかったら、37.9℃。

多少の熱で文句言ってるんじゃないって?
いえいえ、夜間救急は、通常勤務の後の、ほぼ強制残業です。
日中ちゃんと、病棟業務や手術をこなした後の。

都市部にあって、近隣自治体からの救急車もたくさん受けてて、がんばってる病院なんだけど、補助金の対象には絶対ならないな。

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医師の交代勤務を支援へ 導入病院に補助金 厚労省
2007年08月21日

 厚生労働省は医師不足対策として08年度から、医師の交代勤務制を導入した病院に補助金を出す制度を新設する方針を固めた。08年度予算の概算要求に5億円を盛り込む。過剰労働が医師の病院離れの一因となっているため、当直明けに休みが取れるような勤務態勢を整えた病院を支援する。

 新たな補助制度では、日中と夜間で医師が全員入れ替わる交代勤務にしたり、当直明けの医師が必ず休める勤務体系を導入したりして、医師の労働環境改善に取り組む病院に補助する。

 ただ、医師数に比較的余裕がある病院でなければ交代勤務を導入するのは難しく、医師不足が深刻な地方の公立病院などでは、補助対象となる勤務体系を導入できるかは不透明だ。

 厚労省によると、30~40代男性の病院勤務医の1週間の平均勤務時間は約50時間で、同年代の診療所医師より10時間近く多い。当直明けの勤務医がそのまま通常の診察などを行う勤務体系が多くの病院で常態化しており、過剰労働に耐えきれずに開業医に転身する医師が後を絶たない。

 同省では、交代勤務を導入した病院に対し、こうした補助金だけでなく、診療報酬の上乗せも今後検討する。

http://www.asahi.com/health/news/TKY200708200265.html

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労働環境改善という視点に関しては評価すべきと思いますが、突っ込みどころ満載です。

日本全国で5億円、なにができるというのでしょう。
対象になりそうな病院が一握りしかないから?

必要があって当直後の勤務をしているわけだけど、交代勤務するようになってできた穴は結局サービスの低下につながるわけで、そうならないためのスタッフ数が必要。

30~40代男性勤務医の1週間の平均勤務時間は約50時間?
そんなに少ない?
法的に「当直」は見回り程度で、「夜勤」ではないからカウントされないらしい。

診療報酬目当てのヘッドハンティングが起こるようになったら、ますます「医師偏在」が顕著になるんだけどなぁ。
看護師の7:1基準を見直すって言ったばかりなのに、同じことの繰り返し?
病院潰しをもくろんでいると言われてもしかたないと思うけど、ただ後先考えてないだけなのかなぁ。


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だから、「医師偏在」だけの問題じゃないんだって。 [時事ネタ]

朝日新聞は、ど~しても、地域偏在ということにしたいらしいのです。

こちらでも書いていたことですが、常勤医で基準を満たす病院は36%。
http://blog.so-net.ne.jp/side_B/2006-11-29
非常勤を含めて基準を満たす病院は83%。
約47%もの病院が、アルバイトの医師に支えられて、基準を満たしている計算です。

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医師数の基準、満たす病院83% 地域間になお格差
2007年06月16日

 厚生労働省は15日、全国の病院で05年度、医療法が定める医師数の基準を満たした割合は83.8%だった、との調査結果を発表した。前年度の83.5%からほぼ横ばいだが、地域間格差が大きく、北海道・東北地方などで依然として深刻な医師不足が続いていることがうかがえる。

 全病院の95%にあたる8518病院に都道府県が立ち入り検査し、医師や看護師らの配置状況を調べた。患者数に応じた医師数の基準に適合していたのは7135病院。

 地域別の適合率は、北海道・東北が63.5%で最も低く、最高の94.4%だった近畿と約30ポイントの開きがあった。次いで北陸・甲信越(78・8%)、四国(81.9%)、中国(83%)、九州(86.8%)の順に低かった。

 一方、近畿、関東(89%)、東海(88.2%)では、それぞれ約4分の1の病院が基準の1.5倍以上の医師を抱えており、大都市部の病院に医師が集中している実態が数字で裏付けられた。

 看護師数の基準を満たした病院は99.3%、薬剤師は90.7%だった。

http://www.asahi.com/health/news/TKY200706150464.html

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> 約4分の1の病院が基準の1.5倍以上の医師を抱えており
この記事を書いた記者はよほど都会の医療に満足しているのか、田舎の医療に不満を抱いているのか、はたまた医療の質なんて気にしてないか、なんでしょうね。

「基準」というのは、患者あたりの最低限必要な医師数(、看護師数、薬剤師数)なわけです。
基準どおり→最低限でなんとかやっている病院です。
1.5倍→ひとりの患者さんに対してより多く時間をとることができ、質のいい医療を提供でき、または労働者の負荷がより少ない病院です。あるいはそこで一流の技を身に付けようという気概のある医師が集まる先進的な病院です。
ということです。

全国一律基準どおり、それ以上は不足している地方へ分配することとなれば、都市部の医療レベル低下、患者-医療者のコミュニケーション不全、または医療者の過労、あるいは先進医療の普及の阻害につながります。

国立病院機構の医師派遣システムが破綻したという報道が最近ありました。
人員が比較的多いとされている病院にもよそを助けている余裕がないことは自らがすでに報道していることですし、都市部でも診療科の閉鎖、縮小などは多々起きていることです。

地方を切り捨てろとはいいません。
しかし、こういう視点なくして「医師偏在」を声高に叫ぶのはあまりに無責任です。

内容を自分で解釈し、他の事柄と有機的に関連付けることなく全国紙の記事を書けるなんて。
クライアント(読者)のことを考えて必死に勉強して、記事を書いていたらこうちぐはぐにはならないと思うんだけど。
先日まで連載されていた医療者側の意見を盛り込んだコラムと、日ごろの記事との乖離も社内の意思統一の必要性を感じさせます。


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グッドウィル、介護事業から撤退へ コムスン不正問題 [時事ネタ]

コムスンの不正をフォローする気は毛頭ありません。
が、どうも世論の誘導の方向性として、センセーショナルな批判に終始して、その原因がどこにあるか、どう改善するかを掘り下げるのが後手にまわりすぎるんです。

コムスンから他の企業に経営母体が変わっても、所詮民間の営利企業です。
みんな「介護を食い物にして」いる企業ばかりですよ。
だって、株式会社が利潤を追求して、株主を集め、配当を出すのは当然のこと。
「福祉で金儲けは致しません」なんて本気で言ってる企業に、あなたなら投資しますか?

ワタミの社長は下の記事で「黒字にする」って言ってるし、
> 「訪問介護はお断りさせていただいた。今の介護報酬の中でやるのは難しい」
と朝日新聞の今日の2面の記事にコメントが出ています。

介護で金儲けをするのはおかしいといいながら、ワタミやニチイの姿勢を批判しないのは不可解です。

マスコミもようやく気づき始めたのか、知っていたのに記事にしなかったのか、コムスンの不正を批判すればそれですむ問題ではありません。

> ニチイ学館は訪問介護に加え、要介護者が事業所に通うデイサービス事業なども引き受ける方針。コムスンの特色だった24時間訪問介護の全面的な継続は難しいが、早朝や夜間のサービスで対応したい考えだ。
http://www.asahi.com/special/070607/TKY200706120106.html

民間企業が、介護保険の報酬の範囲で、24時間対応の訪問介護の人材を確保したり、収益を上げたりすることが困難であることは、ニチイの言からも推し量られます。

介護で金儲けすることがおかしいのなら株式会社の参入を禁止すべきだし、介護は心だというのなら社長は介護福祉士やケアマネなどの実務経験のある有資格者に限定すべきです。
社会保障費削減の一点張りではなく、労働者の働きに見合った人件費を出しても経営的に成り立つ介護報酬を設定する必要があります。
そして、高齢化が進むにつれて介護にかかる税金の支出割合が増えるのは当然だと、国民が認識する必要があります。

医療系サイトでこの問題が取り上げられているのは、医療と福祉は切り離せないし、政策、財政的に窮地に立たされていることは共通しているからです。
医療が高度化し、寿命が延びて患者数が増加し、マンパワーもお金も必要、医療費が増えるのは当然だと、国民は認識する必要があります。

働き盛りの方も、介護とは程遠い若い方も、30年後、50年後の自分の番のときにこの国がお年寄りや患者に優しい国になっているかどうか、他人事ではないですよ。

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 グッドウィル・グループ(GWG)は11日、介護事業から全面撤退する方針を固めた。コムスン以外の介護事業を手がける関連子会社もグループ外に売却する。介護事業の売り上げの大部分を占めるコムスンを手放せば、残る子会社だけで事業を続けるのは難しいと判断した。厚生労働省から行政処分を受けた後も介護事業の継続を模索していたが、社会的な批判の前に断念に追い込まれた。

 コムスンの事業所の更新を認めないとの厚労省処分を受けて、GWGは当初、コムスンの全事業をグループ内で継続するため、有料老人ホーム運営子会社の日本シルバーサービスに譲渡する計画を打ち出した。グループの介護事業の年間売上高は約800億円で、うち9割近くをコムスン事業が占める。中核のコムスン抜きに介護事業を続けるのは難しいからだ。

 ところがこれが「処分の骨抜き」との批判を浴びた。日本シルバーサービスはもともとコムスンの子会社だが、コムスンが処分を受けるのに備えて、事前に別の子会社に移しておく巧妙さだった。企業イメージの悪化が利用者離れにつながるのは避けられないと見たGWGは、厚労省の指導も受け入れてグループ外売却に転じた。

 介護事業から全面撤退後は、中核事業の人材派遣事業に資源を集約する。グループの07年6月期の売上高予想5000億円のうち介護以外が8割以上あるため、介護から撤退後もグループの事業基盤は維持できると見られている。

 同社の介護事業売却の方針を受け、居酒屋チェーン大手、ワタミの渡辺美樹社長が11日、報道陣に「老人ホームなどの介護施設なら黒字にできるノウハウがある」と語り、コムスンの老人ホームなど約80施設を引き受ける意向を示した。ワタミは04年に介護事業に参入し、首都圏を中心に21カ所(07年3月末)の有料老人ホームを運営している。

 トップがコムスン買収の意向を明確に表明したのは同社が初めて。ワタミは証券会社を通じてGWG側に働きかけており、渡辺社長は「いつでも受ける態勢がある」という。

 コムスンの事業買収には、介護業界大手のニチイ学館(東京都千代田区)も前向きな姿勢をみせている。ただ、いずれの企業も一括買収には否定的だ。コムスンの約6万5000人の利用者すべてを引き受けるのは各社にとっては大きな負担で、ある業界大手は「地域単位ではいいが、丸ごとは難しい」と漏らす。

 また、コムスンの一連の不祥事を受け、日本経団連は11日、同日付でGWGの折口雅博会長兼最高経営責任者の理事退任と、同社の当分の間の会員活動自粛処分を決めた。過去の処分では最も重いが、今後の動向次第ではさらに厳しい処分も検討する方針だ。

http://www.asahi.com/special/070607/TKY200706110232.html


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がん疑いの腎移植 60代母から30代息子へ、術後に良性判明 [時事ネタ]

以前問題になった「病気腎移植」とどこが違うのか、いまいちわかりません。

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秋田大病院:がん疑いの腎移植 60代母から30代息子へ、術後に良性判明
 秋田大病院(秋田市)は26日、昨年9月にがんの疑いがある腫瘍(しゅよう)が見つかった腎臓を使い生体腎移植を実施したことを明らかにした。60代の母親から腎不全の30代の息子に移植され、腫瘍ががんなら転移する可能性を説明したうえで男性の同意を得たという。腫瘍は移植後に良性と分かり、親子の術後の経過は良好だが、倫理委員会による審査などはなかった。【馬場直子、岡田悟】

 記者会見した溝井和夫院長によると、移植手術前のCT検査で、母親の腎臓にがんの疑いがある直径1センチの腫瘍が見つかった。病院側は手術前、通常の生体腎移植の説明のほか、▽非常に悪性なら移植を断念する▽がんの転移の可能性もある--と明記した文書を用いて説明した。そのうえで、女性と息子の双方から同意署名を得たという。息子は移植手術を強く希望していたという。

 手術日の腫瘍の診断で「悪性の可能性は薄い」と判断し、結果を息子に伝えて改めて同意を得たうえで、腫瘍部分を切除した腎臓を移植した。腫瘍は移植後の病理診断で良性と確認された。

 溝井院長は今月21日、担当の羽渕友則泌尿器科長からの報告で移植手術の事実を知ったという。

 羽渕泌尿器科長は米国に出張中で、溝井院長は「科長に確かめないと確かなことは分からない」としながらも「十分に慎重なステップを踏んでいると個人的には思う。移植専門の学会でも意見を聞きたい」とした。

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 ■解説

 ◇倫理委での検討必要

 今回の秋田大病院の生体腎移植は、息子への提供を決めていた母親の腎臓に、たまたま腫瘍(しゅよう)が見つかったケースだ。禁忌とされるがんの疑いのある腎臓の移植を、倫理委員会に諮らずに決めたことは問題だが、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)などでの一連の病気腎移植とは状況が違う。一連の病気腎移植は、腎がんなどの患者から「治療」として摘出した腎臓を移植した。日本移植学会などは「患者の治療が最優先で、使える腎臓を摘出するのは不適切だ」などと批判した。

 今回のケースは、母親の治療が目的ではなく、可能な限り移植へつなげようとする姿勢は理解できる。手術中の迅速病理診断の結果によっては移植中止も選択肢に入れるなど、慎重な手順を踏んでいた。

 ただし、実験的側面が強い医療だったのは事実で、大島伸一・日本移植学会副理事長は「ドナーに不利益はなかったと見られ、病気腎移植と同じではない。だが、第三者も交えた倫理委員会などで検討すべきだったと思う」と指摘している。【大場あい】

毎日新聞 2007年5月27日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070527ddm041040112000c.html

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ドナー側の術前検査で癌の疑いがあった。
すなわち、病気腎であったことに違いないと思うのですが。

腎癌は、教科書的には生検(針で経皮的に組織の一部をとって病理検査すること)禁忌です。
確定診断をつけるためには、結果が良性であれ、悪性であれ、部分切除するか、全部摘出するかしなければなりません。
つまり、なんらかの外科的切除が必要であった可能性がありえたケースと思われます。
あくまで教科書的な話です。
(実際の医療は教科書どおりにいきませんが、福島・大野病院事件では教科書が検察側の証拠として出されていたりします)

> 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)などでの一連の病気腎移植とは状況が違う。
ほんとに違うっていいきれるんでしょうか。
紙面の情報だけでは、私には判断できません。

結論ありきの報道(学会も?)のような気がしてなりません。


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癌死亡率を下げた先にあるものは・・ [時事ネタ]

国のがん対策原案、10年間で死亡率2割減が目標
2007年05月18日21時12分

 4月施行のがん対策基本法を受けて、厚生労働省は18日、患者や医師、識者らで作る厚労相の諮問機関「がん対策推進協議会」に国の基本計画の原案を提案した。75歳未満のがんによる死亡率を今後10年間で20%減らす目標を盛り込む一方で、喫煙率の削減については数値目標を見送った。

 原案は、▽予防対策と早期発見▽全国どこでもがんの専門医療を受けられるようにする▽研究の推進などが柱。全国のがん拠点病院で5年以内に放射線療法・外来化学療法を可能にすることや、在宅での緩和ケアの推進などが盛り込まれた。

 数値目標は死亡率のほか、5年以内に乳がんや大腸がんなどのがん検診の受診率を50%以上にするとした。現在の受診率は、がんの種類によって13.5~27.6%。

 一方、喫煙率については、4月の協議会では「半減」でいったんは合意したが、原案は「受動喫煙防止、広告規制、普及啓発など各種の方策を適切に行う」との表現にとどまった。厚労省は00年と昨年、国民の健康づくりの計画「健康日本21」に喫煙率の数値目標を盛り込もうとしたが、たばこ業界や自民党などの反対で断念している。

 喫煙率について、同省がん対策推進室は「数値を盛り込めばいいというものではない。たばこ対策を幅広くとらえ、打ち出していくことが重要だ」と説明している。

 厚労省は今月中に基本計画案をまとめ、6月中の閣議決定を目指す。この基本計画をもとに、各都道府県は年度内に計画を作る。

朝日新聞 http://www.asahi.com/life/update/0518/TKY200705180310.html

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引用しておきながら、今回癌のことを正面から論じる気はないのですが。。

> ▽予防対策と早期発見▽全国どこでもがんの専門医療を受けられるようにする▽研究の推進などが柱。全国のがん拠点病院で5年以内に放射線療法・外来化学療法を可能にすることや、在宅での緩和ケアの推進

癌に対する医療を充実させるということに異論は挿みようがありません。
ちゃんと予算をつける気があるのかどうか、医療従事者の過労のもとに実行しようとしているのではないかと勘ぐりはしますが。

「在宅での緩和ケアの推進」・・それが望ましいケースが多数あるだろうし、医療経済の面からも望ましいと思われます。
行政の主眼は後者にあるような気がしてならなくはないのですが。

緩和ケアと介護には共通した点があって、体の自由がきかなくなってくると他者の援助が必要になってくる面があるかと思います。
離れて住んでいたり、仕事などで家族が「援助者」になれるとは限らないのに、政策的に半ば無理やり在宅に誘導することが懸念されます。

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この国は、民間保険を活用する、受益者負担を増加させるなどして、高齢化、医療の高度化に逆らって医療費削減を目指していると承知しています。
要するに、お金のない人はサービスを受けられない、と。

10年間で癌死亡率2割減とのこと。
逆に言うと、寿命が延びること、心血管障害、脳血管障害等での死亡率が増加することが予想されます。

でも、年金もろくに受け取れない世の中が待っています。
お金のない人はろくにサービスが受けられません。

・・・結局、癌死から逃れて恩恵を享受できるのは経済的に恵まれている方だけなんでしょうか。


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研修医、拠点病院に集約 修了後へき地に [時事ネタ]

研修医、拠点病院に集約 修了後へき地に 政府与党検討
2007年05月19日08時44分

 政府・与党は18日、医師の不足や地域間の偏在を解消するため、大学卒業後の研修医の受け入れ先を地域の拠点病院に限定し、拠点病院にへき地への若手医師派遣を義務づける方向で検討に入った。従来、医師を割り振る役割を担ってきた大学医学部が、04年度の新しい臨床研修制度の導入をきっかけに機能しなくなってきたため、地域医療の中心になる拠点病院に代替させる狙いだ。

 政府・与党は同日、医師不足対策のための協議会を発足。100人程度の医師を国立病院機構などにプールし不足地域に緊急派遣する対策とともに、拠点病院からの派遣策について具体的な検討を進め、6月の骨太方針に盛り込む方針だ。

 これまで新卒医師の7割以上は大学医学部の医局に在籍して研修を受け、強い人事権を持つ教授と地元病院などとの話し合いで決められた医療機関に派遣されることが多かった。

 だが、新臨床研修制度の導入で原則として医師が自分で研修先を決められるようになり、実践的な技術を学べる一般病院を選ぶ医師が急増。都市部の病院に研修医が集中する一方、地方では定員割れの病院が続出し、へき地に医師を派遣するゆとりがなくなった。

 政府・与党は、現在年1万1300人分ある研修医の定員総枠を、研修医の総数8600人程度に削減することを検討。都市部を中心に定員枠を大幅に削減することで、地方への研修医の流入を促進するとともに、受け入れ先を地域の拠点病院に限定する。

 そのうえで、拠点病院に対して、研修の終わった若手医師を医師不足が深刻な地域に派遣することを義務づける。勤務を終えた医師には拠点病院でのポストを約束することで、若手医師の理解を得たい考えだ。都道府県が条例などで拠点病院に医師派遣を義務づけられるようにし、医師の供給を確実にすることを目指す。

 このほか、長期的な対策として、一定規模以上の医療機関の院長(管理者)になる条件にへき地勤務の経験を盛り込むことや、都道府県が地元出身の医学部生に出す奨学金に国が財政支援する案も浮上。卒業後、地域医療に10年程度携われば、奨学金の返済を免除することなども検討する。

朝日新聞 http://www.asahi.com/life/update/0518/TKY200705180326.html

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マスコミと厚生労働省の医局叩きが功を奏して、医局の弱体化が進み、地方への医師派遣が困難な状況に至りました。
今度は地域の拠点病院に「医局のような」機能をもたせるとのこと。

新臨床研修制度を導入するにあたって、新たに医師になる人数以上の受け皿を用意するため、厚生労働省は研修指定病院になるための要件を緩和しました。
新卒者の研修病院を決めるための「マッチング」に参加した病院数は、
平成15年 851
平成18年 1050
3年間で200もの病院が、(単独型または管理型の)研修指定病院に指定されているようです。
(出典は医師臨床研修マッチング協議会 http://www.jrmp.jp/
今度は「拠点」でない病院をバッサバッサと指定取り消しですか?

「拠点病院」に初期研修医を大挙させても、指導医層がなんとかまわしているような病院では指導医の負担増加が懸念されます。
初期研修医の側にしても、十分な指導が受けられない可能性があります。
よそのブログでもさんざん言われていますが、指導医のバックアップが得づらい僻地で、初期研修を終えたばかりの医師が安全な医療を提供できるのかどうかも懸念されます。

場当たり的な医療政策を、行政も、マスコミも、きちんと総括してるんでしょうか。


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医学部に地域勤務枠、卒業後へき地で10年…政府・与党 [時事ネタ]

全国の大学医学部に僻地枠を設けて、その枠で入学した人たちに学費免除のかわりに10年程度の僻地勤務を義務付けるという自治医大と同様のシステムをつくるということです。

現在、自治医大、防衛医大、産業医大と、卒業後の義務年限を設けている大学がありますが、入学した時点で、学生6年、医師として9年、18歳の方で言えば33歳までの人生の大枠が決まります。
これって、結構恐ろしいことですよね。
結婚とか、家族の病気とか、15年の間になにが起こるかわかりません。

入学してから大学の方向性と本人がやりたいことの乖離に悩んだり、
学費を全額返済して義務年限を逃れたり、
若くして僻地の診療所長になったもののバックアップしてくれる指導医がいないため紹介状を書きまくる日々を送ったり、
義務年限を終えるとともに僻地医療から去ってしまったり(→若手は来るけれどベテランDr.はいなくなっていく)、
自治医大方式でも、いろいろと問題点はあるようです。

「○○科医として我が県の公立病院に○年勤務したら返済を免除する」という自治体の奨学金制度もありますが、これもほぼ同様の問題点があります。
臨床医学を学んでいない段階で診療科を選ばせるのも無理があります。

それから、繰り返しますが、根本的な問題は医師の絶対数不足であって、偏在ではありません。
都会で医者余りがあれば、3時間待ちの3分診療なんて言葉は存在し得ないし、淘汰された医師は嫌でも地方に活路を見出します。
医師という職種は、おおむねどの地域でも、どの科でも、歓迎されるのが現状です。
日本でも、3交代を組めるぐらいに医師数を増やしませんか。

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医学部に地域勤務枠、卒業後へき地で10年…政府・与党

 政府・与党は12日、へき地や離島など地域の医師不足・偏在を解消するため、全国の大学の医学部に、卒業後10年程度はへき地など地域医療に従事することを条件とした「地域医療枠(仮称)」の新設を認める方針を固めた。

 地域枠は、47都道府県ごとに年5人程度、全国で約250人の定員増を想定している。地域枠の学生には、授業料の免除といった優遇措置を設ける。

 政府・与党が週明けにも開く、医師不足に関する協議会がまとめる新たな医師確保対策の中心となる見通しだ。

 地域枠のモデルとなるのは、1972年に全国の都道府県が共同で設立した自治医科大学(高久史麿学長、栃木県下野市)だ。同大では、在学中の学費などは大学側が貸与し、学生は、卒業後、自分の出身都道府県でのへき地などの地域医療に9年間従事すれば、学費返済などが全額免除される。事実上、へき地勤務を義務づけている形だ。

 新たな医師確保対策で、政府・与党は、この“自治医大方式”を全国に拡大することを想定している。全国には医学部を持つ国公立と私立大学が計80大学ある。このうち、地域枠を設けた大学に対し、政府・与党は、交付金などによる財政支援を検討している。

 医療行政に影響力を持つ自民党の丹羽総務会長は12日、新潟市内での講演で、「自治医大の制度を全国47都道府県の国公立大などに拡大したらどうか。5人ずつ増やせば、へき地での医師不足は間違いなく解消する」と述べ、“自治医大方式”の拡大を提案した。

 医学部を卒業した学生にへき地勤務を義務づけることは当初、「職業選択の自由に抵触する恐れがある」との指摘もあった。だが、「入学前からへき地勤務を前提条件とし、在学中に学費貸与などで支援すれば、問題ない」と判断した。

 政府は昨年8月、「医師確保総合対策」を策定し、医師不足で悩む県にある大学医学部の定員増を暫定的に認め、2008年度から最大110人を認めた。しかし、医師不足解消の見通しは立たず、来年度予算編成に向け、追加対策が必要だとの声が政府・与党内から出ていた。

 今回、新たに地域医療を強化するのは、現在の医師不足問題が、医師の絶対数不足よりも、都市と地方の医師の偏在に、より問題があるとみているためだ。

 厚労省によると、人口10万人当たりの医師数は、全国平均の211・7人(2004年)に対し、青森(173・7人)、岩手(179・1人)、岐阜(171・3人)などと東北を中心に平均を大きく下回る。東京(278・4人)など大都市との格差が大きい。また、02年度の立ち入り検査では、全国の4分の1の病院で医師数が医療法の基準を下回った。

 政府・与党は、医師不足問題に関する協議会で、「新たな医師確保対策」をまとめ、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)2007」にも新たな医師確保対策を盛り込む方針だ。

(2007年5月13日3時1分 読売新聞)

http://www.so-net.ne.jp/news/cgi-bin/article.cgi?gid=pol&aid=20070513it01




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開業医は休日も夜も [時事ネタ]

最近疲れ気味で医療関係の記事かいてなかったんですが、そろそろ。
朝日新聞 5/10社説です。

結局、医師全体の労働時間を週40時間に近づけよう、という視点が皆無なんですよね。
勤務医の負担を開業医に分配しよう、といっているだけで。

どんどん時間外労働しろ、
でも医療事故の防止策を徹底せよ。
さもなければ根拠もそこそこに「医療ミス」として糾弾するぞ。
(医療事故と医療過誤は似て非なる言葉であることも、マスコミは学ばなければなりません)
対極にある主張だと、いい加減気づいて、それを認めませんか。

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医療ビジョン―開業医は休日も夜も

 身近な開業医には夜間や休日でも診てもらいたい。大きな病院は入院と専門的な治療だけを扱い、軽い病気は開業医にまかせてはどうか。

 厚生労働省は今後の医療ビジョンとして、こんな考え方をまとめた。

 もともと、軽い病気の時は開業医、難しい治療や入院が必要な時は病院とすみ分けていた。

 ところが最近は、夜間や休日に往診する開業医が減った。逆に病院に患者が集まり、勤務医は疲れ切っている。

 厚労省が開業医と病院の役割を見直そうというのは、こうした現状を改めるためだ。限られた医師や医療機関を有効に使うためには、この改革は遅すぎたぐらいだ。日本医師会や地域の医療に責任を持つ都道府県も加わって、具体策をまとめてもらいたい。

 厚労省案の第一の柱は、住民とのかかわりが深い開業医にもっと働いてもらおうということだ。高齢化が進むなかで、地域の医療を充実させるには、開業医の活用が欠かせないからである。

 診療所で患者を診るだけでなく、往診に出かける。当番医のネットワークをつくり、夜間や休日も診察にあたる。時間外でも電話で相談に応じる。高齢者には24時間体制で対応する。そんな活動が新たな開業医の姿として描かれている。

 また、高齢者が地域で安心して暮らしていくためには、医療だけでなく、生活を支える介護サービスと組み合わせる必要がある。開業医はその全体のまとめ役となることも期待される。

 地域の医療が充実すれば、病院の勤務医は軽い病気の患者を診なくてもよくなり、本来の高度な医療に全力を注ぐことができる。これは病院の医師不足の解消にもつながる。

 問題は、往診や休日診療をあまりしなくなった開業医が急に変われるかどうかだ。いまさらそんなことはできないという開業医も多いかもしれない。

 だが、ここは開業医の出番だと前向きにとらえるべきではないか。開業医を中心とする日本医師会は、この機会に組織をまとめ、「町医者の復権」を図った方がいい。

 厚労省案のもう一つの柱は、全国に約9000ある病院を急性期、回復期、終末期などの患者の病状に応じて機能をはっきりさせたうえで、互いの連携を強めることだ。

 同じような病院がいくつあっても、患者は病状の段階ごとに選ぶことができず、使い勝手が悪い。性格のはっきりしない中小病院は厳しい選択を迫られることになるが、患者の利益や全体の効率を考えれば、やむをえまい。

 開業医に新たな役割を負ってもらう。病院ごとに機能を明確にする。そうした改革を進めるにあたっては、仕事や責任のふえる医師や病院には診療報酬を手厚くし、メリハリをつける必要があることは言うまでもない。

http://www.asahi.com/paper/editorial20070510.html

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> 診療所で患者を診るだけでなく、往診に出かける。当番医のネットワークをつくり、夜間や休日も診察にあたる。時間外でも電話で相談に応じる。高齢者には24時間体制で対応する。そんな活動が新たな開業医の姿として描かれている。

どういう開業形態を想定しているのでしょうか。
大半の開業クリニックは一人でやっていると思いますが、
・通常の診療に加えて
・時間外も電話に応じる(無料で?)
・高齢者には24時間対応
要は、開業医は24時間365日患者対応をしろということですよね。
それって、やりようによっては勤務医以上に拘束されますよ。
開業医は社長であって労働者ではないかもしれませんが、人間です。
数名の医師、看護師体制の整った、グループ開業の形態をとっていなければ到底不可能です。

「夜間急病診療所」などの形態で、医師会員の持ち回りで夜間・休日診療がまわっている都市は、実際あります。
自治体と医師会が連携して、多額の税金が費やされています。

クリニックが多数ある都市部ならよいのですが、数えるほどしかない地方ではどのように回していくかという問題もあるでしょう。

また、一人親方の開業医が夜間診療翌日に心と体を休めるためには、自らのクリニックを休診(臨時休業)にしなければなりません。
しかし、現実には勤務医が強いられている「当直」と同じで、眠い目をこすって、飲酒後並に回転の落ちた頭で、翌日の通常勤務をこなしているケースが多いと思われます。

クリニックを侮ってはいけません。
軽症のように見える重症患者を見落としてはならないこと、微妙な臨床判断を刻々と下さなければならないことは、病院でも、クリニックでも、同じなのですから。

> 地域の医療が充実すれば、病院の勤務医は軽い病気の患者を診なくてもよくなり、本来の高度な医療に全力を注ぐことができる。これは病院の医師不足の解消にもつながる。

外来が少なくなる分、勤務医は病棟業務、手術、検査などに専念しやすくなるでしょう。
しかし、診療報酬が削られる一方の昨今、外来を縮小することで病院が経営的に成り立つのかどうかなど、多角的にとらえる必要があります。

変に医療システムをいじくりまわしたり、ジャーナリストという素人がずれた主張したりするより、不急の時間外受診を戒めたり、病院に来ても一発で風邪を治す薬なんかありゃしないことを周知してくれたりするほうが、よっぽど勤務医の励みになるんですが。

医者は甘い、世の中もっと大変な職業はたくさんある、とおっしゃる方も少なからずいると思います。
でも、いつか、自分や大切な人の手術や重大な決定が、夜勤明けのボケボケ頭の医師によって行われることを想像してみてください。
それでも、医師に休息は必要ありませんか。


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結果責任について~奈良南部産科医療崩壊 [時事ネタ]

ネタ元は勤務医 開業つれづれ日記 様です。
http://ameblo.jp/med/entry-10031475634.html

開かれた新聞:座談会 医療現場に構造欠陥 さらに分析し提言を(その1)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070421ddm010040163000c.html

開かれた新聞:座談会 医療現場に構造欠陥 さらに分析し提言を(その2止)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20070421ddm010040165000c.html

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http://blog.so-net.ne.jp/side_B/2007-02-04
で書いたことは、検証に関していえば一応実行に移されたようにみえる。

> 記事が情緒的すぎるという印象ですか。
ええ、情緒的に過ぎるでしょう。
医療を悪者扱いするには十分すぎる記事でした。
「恥を知れ」と受け入れを断った病院を罵った日刊スポーツの井上真氏も、元はといえば毎日新聞の記事に触発された、客観性を欠く、情緒溢れるジャーナリストでした。
http://blog.so-net.ne.jp/side_B/2006-11-19-1

> 当初から医師個人の責任に焦点を当てる単発報道で終わる考えはなかった。
たしかに単発報道ではなかった。
しかし、十分な根拠もなく医師個人を糾弾したことを決して否定してはいない。

さて、報道姿勢はともかくとして、結果責任は??

この事件に限らず、医療では最善を尽くしても不幸な転帰をたどることが避けられない場合が往々にしてあります。
それでも、マスコミは素人の視点で吊るし上げ、結果責任を厳しく問います。

ペーペーの医者でも容易にダメ出しできるような記事しか書けないマスコミが生み出した医療の空白地域、進展させた全国的な医療崩壊。
これは、結果に対する責任は問われないのでしょうか。
自問することさえしないのでしょうか。

追記:記事のタイトルを見ると「医療現場に構造欠陥」!!
おたくの報道姿勢を検証する記事じゃないのか!?
開かれた新聞なんて名ばかりで、結局よそに責任擦り付けてるだけじゃないか。


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