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医療の平等を守り抜く知恵―朝日新聞社説 [時事ネタ]

だから、「医師偏在」だけの問題じゃないんだって。
http://blog.so-net.ne.jp/side_B/2007-06-16
の最後の方で半年以上前に書きましたが、全国紙の記者って気楽なもんですよね。
一新聞社が会社の総意として書く社説としては、情報の解釈が不十分だし、人権感覚に乏しいと言わざるを得ません。

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希望社会への提言(14)―医療の平等を守り抜く知恵を
・ドラフト制をヒントに、医師を公的に配置
・運営を県単位にして、診療報酬を決める権限も

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 社会保障の各論として、まず崩壊が心配されている医療から考えたい。
 「薬指だけなら1.2万ドル、中指は6万ドル。どっちにします?」。事故で指を2本切断した無保険者は手術に入る前、医者からこうたずねられる……
 昨夏、米国の医療の実態を描いたマイケル・ムーア監督の「シッコ」は、日本でも大きな衝撃を与えた。
 公的な医療保険は高齢者と低所得者に限られ、民間保険に入れないと無保険者になる。米国ならではの光景だ。
 日本では、すべての人が職場や地域の公的医療保険に入る。いつでも、どこでも、だれでも医者に診てもらえる。「皆保険」は安心の基盤である。シッコの世界にしないよう、まず医療保険の財政を確かなものにする必要がある。
 患者負担を除いた医療費は、高齢化で06年度の約28兆円から25年度には48兆円へ跳ね上がる、と試算されている。それをまかなうため、保険料と税金がともに10兆円前後増える計算だ。
 試算では、サラリーマンの月給にかかる保険料率は平均して約1ポイント上がる程度だが、自営業者や高齢者が入る国民健康保険は、いまでも保険料を払えない人が多く、限界に近い。患者負担を引き上げるのはもう難しかろう。皆保険を守るためには、保険料と患者負担の増加を極力抑え、そのぶん税金の投入を増やさざるを得ないのではないか。
 社会保障を支えるためには消費税の増税も甘受し、今後は医療や介護に重点を置いて老後の安心を築いていこう、と私たちは提案した。医療は命の公平にかかわるだけに、優先していきたい。
 もちろんムダもある。治療が済んでも入院を続けて福祉施設代わりにする。高齢者が必要以上に病院や診療所を回る。検査や薬が重複する。こんなムダを排していくことが同時に欠かせない。

 医療保険の財政基盤が固まったとして、医療の現場は大丈夫か。そこが最近は怪しくなってきた。
 病院から医師がいなくなっている。患者のたらい回しもよく起きる。このままでは産科や小児科だけでなく、外科や麻酔科も足りなくなる。近ごろ医師の不足や偏在が目にあまる。
 医師は毎年4000人ほど増えているが、人口1000人当たりの医師は2人だ。このままいくと韓国やメキシコ、トルコにも抜かれ、先進国で最低になるともいう。先進国平均の3人まで引き上げるべきだ。医師の養成には10年はかかる。早く取りかからなければならない。
 医師が充足するまではどうするか。産科や小児科など、医師が足りない分野の報酬を優遇する。あるいは、医師の事務を代行する補助職を増やしたり、看護師も簡単な医療を分担できるようにしたりして、医師が医療に専念できる環境をつくることが大切だ。
 そのうえで、診療科目の選択や医師の配置に対して、公的に関与する制度を設けるよう提案したい。
 医師の専門分野が偏らぬよう、診療科ごとの養成人数に大枠を設ける。医師になってからは、一定期間、医師の少ない地域や病院で働くことを義務づける、というものだ。
 配置を受ける時期は、研修時や一人前になったとき、中堅になって、といろいろありうるだろうが、義務を果たさなければ開業できないようにする。
 医師は命を預かるかけがえのない仕事である。だから私立医大へもかなりの税金を投入している。収入が高く、社会的な地位も高い。たとえ公立病院に勤務していなくても、公的な職業だ。
 自由に任せていては、医師の偏在は解消できない。社会の尊敬と期待にこたえて、このように一時期の義務を受け入れることはできない相談だろうか。

 以上の制度ができたとき、医師を計画的に養成するのは中央政府の仕事だ。しかし、それ以後は思い切り分権を進め、地域政府にまかせるべきだ。
 前述した配置も、都道府県が地元の病院や医学部、医師会、市町村などと相談しながら決める。医師の多い県から出してもらう必要も生じるだろう。
 その際には、プロ野球のドラフト制度をヒントにしてみてはどうだろうか。新人だけでなく中堅の医師を含めて、医師不足の県が、医師の多い県から優先的に採用できるようにするのだ。
 4月からは、75歳以上の高齢者が入る県単位の高齢者医療制度が始まる。中小企業のサラリーマンが入る政府管掌健康保険は全国一本だったが、これも10月から県ごとに運営される。市町村の国民健康保険や小さな健保組合も、県単位への統合を進めている。
 したがって、医療の負担と給付を決めるのも県の仕事にするのが自然だ。
 医療への診療報酬は政府の審議会で決めている。これを、政府が決めるのはその基準にとどめ、知事が最終的に決めるようにしたっていい。必要とされる医療は地域によってさまざまなので、地域の実情に合わせやすくなるだろう。
 長野県は、予防に力を入れて高齢者の医療費を全国最低に抑えつつ、長生きを実現している。県が責任をもつことで、そんな工夫が広がるよう期待したい。

http://www.asahi.com/paper/editorial20080128.html

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> 治療が済んでも入院を続けて福祉施設代わりにする。高齢者が必要以上に病院や診療所を回る。検査や薬が重複する。こんなムダを排していくことが同時に欠かせない。

ムダと一言で片づけられるほど簡単な問題ではない。
急性期病院退院後の受け皿としての療養型病院は削減の方向(厚労省が試算の甘さを認識して削減数を減らしたけど)、老人保健施設や特別養護老人ホームは順番待ちの長蛇の列。お役所は4割を在宅に誘導するなんて言ってるけど、実際にそうしたいと思っている庶民は1割。在宅療養するためには家族の誰かが仕事を辞めなければならない、しかし仕事を辞めると食べていけなくなるのが現実。
何をもって高齢者が必要以上に受診していると言い切るのか。高齢者が内科にも、整形外科にも、眼科にも、・・・かかるのはまったく不自然なことではない。若年者であれば自宅で可能な処置も、高齢者であれば通院せざるを得ないことがある。後期高齢者医療制度という名の国策に対して無批判すぎるのではないか。

> 産科や小児科など、医師が足りない分野の報酬を優遇する。あるいは、医師の事務を代行する補助職を増やしたり、看護師も簡単な医療を分担できるようにしたりして、医師が医療に専念できる環境をつくることが大切だ。

診療報酬がらみのニュースで「医師の収入に直結する」などと書かれているが、まったくの誤解である。診療報酬は病院の収入であって、医師はそこから給与として労働の対価を受けているにすぎない。産科、小児科の診療報酬を優遇したところで、病院の運転資金になることはあっても、医師の懐に入るとはおよそ思われない。
診療報酬上医療クラークを配置できるのは第三次救急医療機関、総合周産期母子医療センター等々に限られる見通しで、ほとんどの第一線医療機関には無関係。
看護師は規制改革会議のいうところの「簡単な医療」であっても、処方等々自分で判断するようには教育されていない。看護師ブログを拝見すると、「足りてないのは医師だけじゃない、看護師の仕事をこれ以上増やすな」という主張あり。現場の思いをまったくわかっていない政府の諮問会議や日本看護協会。

> 医師の専門分野が偏らぬよう、診療科ごとの養成人数に大枠を設ける。医師になってからは、一定期間、医師の少ない地域や病院で働くことを義務づける、というものだ。(中略)収入が高く、社会的な地位も高い。たとえ公立病院に勤務していなくても、公的な職業だ。自由に任せていては、医師の偏在は解消できない。社会の尊敬と期待にこたえて、このように一時期の義務を受け入れることはできない相談だろうか。

憲法第22条には 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
と書かれている。医師が居住地、就職先を自由に決めることが、公共の福祉に反するとは思えない。一企業の総意として、不用意に基本的人権の侵害を口にすべきでない。
ここで収入とか社会的地位を引き合いに出す?社会の尊敬と期待?
いまさらヨイショしなくていいっすよ。日頃の医者たたき、病院たたきは尊敬と期待の裏返しですか?
重責と国家政策的労働基準法違反の日々に大変疲弊しておりますが、収入が高めなのは自分の心と体を削ってお金に換えているだけのこと。
良好な関係を築ける患者さんが大多数だけれど、一部のクレーマーと、とんでもない判決を生み出す司法によって我々の首は締め付けられる一方。Judgement Based Medicine(判例に基づく医学)なんて言葉があるぐらい。

> プロ野球のドラフト制度をヒントにしてみてはどうだろうか。新人だけでなく中堅の医師を含めて、医師不足の県が、医師の多い県から優先的に採用できるようにするのだ。

ドラフトって、もちろん契約しない権利もあるんですよね?


マスコミ各社殿 そろそろ検証しませんか―救急車「拒否」 [時事ネタ]

連日の報道ですが、そろそろ建設的な議論をお願いしたい。
事実を知らしめることに意義がないとは言わないが、いまだにそこで止まっている。
その点、福島や奈良のときのほうがまだましだったかもしれない。

需要側(患者)の問題なのか、中継ぎ(消防、自治体)の問題なのか、供給側(病院)の問題なのか。
大阪の一地域の問題なのか、全国的な問題なのか。

患者が急病にかかることに、基本的に非はない(中には定期受診を怠ったために重症化した方、まったく健診を受けたことがない「自称病気したことがない」方もいる)。
では救急病院に軽症患者があふれていたり、前回エントリで述べたような軽症救急車であふれかえっていたりするために重症患者が受け入れられないということはないのか。

救急隊は重症患者の受け入れ可能な病院をきちんと把握しているのか。
2次・3次救急病院を10件、20件といったら相当広域に受け入れ要請しているはず・・・。
まさか1次救急診療所・病院や療養型病院に要請しているなんてことはないか。

人口に対して、また病気になる頻度が高いといえる高齢者人口に対して、2次・3次救急病院の数は十分にあるのか、そしてその病院のマンパワーは十分にあるのか(そもそも十分な病院なんて日本中探したって数えるほどだが)。
そこのスタッフはほんとにやる気がないのか。

いいかげん、国民の反医療感情を煽るだけの報道はやめてほしい。
今日だって、めちゃくちゃにごった返している中救急車で現れたけど、怪我の処置だけで5分でご帰宅いただいた方いるし。

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心肺停止でも受け入れ拒否=12病院、1時間後死亡-大阪・富田林市
1月13日15時31分配信 時事通信

 大阪府富田林市で昨年3月、心肺停止状態で救急搬送を要請された同市内の女性=当時(77)=が12病院に受け入れを拒否され、約1時間後に搬送先の病院で死亡していたことが13日、分かった。同市では同12月にも、約30病院に受け入れを拒否された女性=同(89)=が死亡したケースが明らかになっている。
 富田林市消防本部によると、昨年3月14日午後9時50分ごろ、女性の家族から「風呂でおぼれて意識がない」と119番。同本部通信指令室は救急車到着までに11病院に要請したが、いずれも断られた。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080113-00000025-jij-soci

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追記 2008.01.14.PM
今朝の朝日新聞の記事がネットに載ったので転載します。

中核救急病院、2年で174カ所減 搬送遅れの要因に
2008年01月14日

 地域の救急患者を受け入れる中核的存在の「2次救急病院」が、この2年間で174カ所減ったことが、朝日新聞の全国調査でわかった。深刻化する医師不足や経営難が影を落とした結果、減少傾向が加速しており、新たに救急を掲げる病院がある一方、救急の看板を下ろしたのは、2年間で全体の5.6%にあたる235カ所に上る。急患の収容先選びが困難になり、搬送遅れが続発するなど市民生活への打撃は大きい。国の医療費抑制政策が救急医療の根幹を揺るがしている実態が、色濃く浮かんだ。

 日本の救急医療機関は、開業医らが軽症患者を診る「1次(初期)救急」▽入院や手術の必要な患者を治療する「2次救急」▽救命救急センターなど重篤患者に対応する「3次救急」に分かれ、中でも、多くの市にある公立・民間の2次救急病院が地域医療の中心的担い手となっている。調査は、救急医療計画を策定する各都道府県を対象に、05年10月~07年10月の増減状況を尋ねた。

 全国の2次救急病院は05年10月時点で4170カ所あったが、2年後には3996カ所となり、174の純減。救急対応をやめた235カ所に加え、21カ所が3次救急に移行するなどした一方、新たに82カ所が2次救急病院になった。04年以前のデータがある自治体の多くで、05~07年の年間減少数がそれ以前を上回り、減少率が高まっている。

 2次救急病院の減少数トップは福岡県の26カ所。県東部の京築地区で市町村の補助金が打ち切られた結果、当番制で急患を受け入れる「輪番制度」がなくなり、10病院が一気に救急から外れたのが響いた。東京都の15カ所、大阪府の14カ所がこれに続き、診療報酬の改定に伴う収入減などで、診療体制を縮小する病院が都心部で増えている実情を裏づけている。当直の確保で人件費がかさむ救急が不採算部門になっている例も多く、東京では、5病院が破産や廃院に追い込まれていた。

 地域別では、四国の落ち込みが著しく、全体の11%にあたる22カ所の減。北陸・甲信越でも8%(22カ所)減少し、激務などから救急勤務医の退職が相次ぐ地方病院の苦悩が際立っている。

 こうした状況を背景に、各地で救急患者の搬送先探しが難しくなっており、兵庫県姫路市では昨年12月、吐血して搬送された男性が17病院に受け入れを拒まれた後に死亡。大阪府富田林市でも下痢や嘔吐(おう・と)で搬送された女性が30病院に断られた翌日に亡くなった。福島市では同11月、交通事故に遭った女性が4病院に計8回搬送を拒否された後、死亡している。

 このほか、2次救急に指定されている診療所も同時期に57カ所減り、404カ所になった。2年間で12%が消えたことになる。

 調査と並行して、救急対応をやめた235病院のうち、自治体が公表しなかった病院などを除く227病院に撤退の理由(複数回答可)を聞き、204病院から回答を得た。

 最多は「医師や看護師の不足」で66病院。次いで「診療所への変更」(40病院)が多く、「療養型病院などへの転換」も28病院あった。「地域の輪番制度がなくなった」が24病院、「倒産・廃院」は20病院だった。

 スタッフ不足を挙げた病院は地方に顕著で、「大学の医局による医師引き揚げで常勤医が10人以上減った」「医師が半減し、当直態勢が取れなくなった」などと事情を説明。「看護師が給与の高い都市部へ流れ、夜間の救急体制が築けない」との声も多かった。

 都市部では、人手不足を訴える病院が多い一方で、「救急での収益が期待できない」「病院の収支が厳しい中で続けるメリットがない」など、経営上の理由も目立った。中には「当直医の専門外の患者が来る救急は、訴訟リスクが高い」と回答した病院もあった。

http://www.asahi.com/health/news/OSK200801130038.html


救急車有料化は「受け入れ拒否」解消の一助となるか? [時事ネタ]

注:「拒否」というのはあくまで一般向けの言葉であって、「不能」「困難」が正しいと考えています。

救急車を有料化したらお金を払えない人が躊躇してしまう、
一方で、不要不急の要請に対する規制は必要、と思ってきました。

最近、原則有料化したらいいんじゃない?ぐらいに思えてきました。
民間寝台車か、せめてタクシー並みの料金を。

まったく同じ症状、同じ重症度でも、
自家用車で来ればガソリン代、
タクシーで来ればタクシー代、
ところが救急車で来ればタダ、しかも3人の救急隊員(=税金で人件費を払っている人)、優先的に診察を受ける権利付きです。
これでは「救急車を呼ぶなんて世間の皆様に申し訳ない」と思っている人が損をします。

というのは、ただちに命にかかわらない、あるいは症状が軽いケースが少なくないからです。
意識障害、呼吸・循環動態の悪化、多量の出血、著しい疼痛、外傷による歩行不能など、客観的に救急車で来院する必要性のある場合
軽傷だが交通事故の場合
寝たきりで介助なく移動することができない場合
子供の急病に親が焦ってしまった場合
どこに行けば時間外診療が受けられるかわからない場合
ほとんどのケースが以上に当てはまると思いますが、救急車で来院する必要のない方は少なくありません。

自転車の後輪に足を巻き込みました
怪我しましたが一旦自宅に荷物を置いてから救急車を呼びました
鼻血が止まらなかったけれど救急隊員の圧迫で止血しました
腰痛で数日前から身動きできません
子供が高熱を出しました、他に症状はありません
大量飲酒で気持ち悪いです
不安で・・・

よそ様に移動手段を提供してもらうのであれば、寝台車代、せめてタクシー代ぐらい払っても罰は当たらないと思うのですが。
基準以下の所得かつ症状が客観的条件を満たす場合は免除にすれば、一応お金を気にして救急車を遠慮することもないし、逆に生活保護世帯は救急車呼び放題ということにもならないし。

「救急車の適正利用」が進めば、救急隊の現地到着時間も短縮されるし、診察を待ち続けている患者さんが不必要に順を抜かれることもなくなるし、救急車の受け入れ予定が3,4台続いて「これ以上無理です」と断ることも減るし、不急患者の救急外来ベッド占有による他の患者の受け入れ不能も少しばかりは緩和されるかと思うのですが。


姫路 救急搬送「拒否」の真相は [時事ネタ]

姫路の救急搬送「拒否」の件
http://blog.so-net.ne.jp/side_B/2007-12-06
ですが、他所の医師ブログを拝見しても、

1.食道静脈瘤破裂とそれによる出血性ショック and/or 肝性脳症
2.内視鏡的止血術のできる消化器科医でなければ処置困難
という見解で一致しています。
あくまでも推測の域は出ないのですが、「救急車の要請を受けるか、断るか」レベルであればこの「域」で十分でしょう。

3.肝臓病を3年間無治療だったという自己責任
について言及しているブログもあります。
報道直後は亡くなった方を責める発言は慎みましたが、食道静脈瘤の予防的治療(破裂する前につぶす)を受ける機会を自らの意思で逸していたものと考えられます。

今回のネタ元は 新小児科医のつぶやき 様です。
2007-12-20 姫路宣言の真相 http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20071220
QQ医様のコメントを引用させていただきます。
真偽については、正しいと信じて転載します。

> 救急隊は患者の病態は知らせずに今日の当直は何科ですかと尋ね、内科(消化器内科)と整形外科ですと事務当直が応えるとそれでは結構ですと応じて以後連絡はなかったそうです。しかし後日の新聞には拒否の字が躍っていたというわけです。新聞を見るまで当直医は自分が断ったことになっているとは全く知らなかったわけです。救急隊は外科対応できる施設ばかり探していたようです。

> 市内に患者を受け入れられる病院(人も能力も)があったにもかかわらず救急隊の判断ミスで搬送できなかったと言うことです。この件に関しては病院から厳重な抗議が消防、市にあり彼らは火だるま状態でした。

第1段階として救急隊による判断ミス
第2段階として役所による不都合な事実を隠蔽した上での病院攻撃
によって、今回の騒動に発展したようです。
そして
第3段階、マスコミは役所、救急隊に対する検証記事を書くことなく病院を悪者にしたまま去っていきましたとさ。

救急隊員は医師ではないので適切な診療科についての判断が難しいケースだったものと思われます。
が、「内科対応できる病院へ」と断った病院の意見を無視してまで外科にこだわったのはなぜだったのでしょう。
そして、わざわざ墓穴を掘った役所の報道向け発表はなんの目的だったのでしょう。

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以下全文です。

どうも事実誤認があるようですので報告します。先日の事件の後の救急の会で明らかになったのは市内に患者を受け入れられる病院(人も能力も)があったにもかかわらず救急隊の判断ミスで搬送できなかったと言うことです。この件に関しては病院から厳重な抗議が消防、市にあり彼らは火だるま状態でした。消防隊の判断ミスを受けて診療科を限定せずに症状を医療機関へ伝えて判断を仰ぐという議論であったと記憶しています。決して何でもとれと言うことではありませんでした。実際会議中に2、3の医療機関から輪番から撤退するという申し出もありました。その時点では少なくとも医師会の敗北ではありませんでした。診れないものは診れないというスタンスをはっきり伝えたと思います。どうも役人のマスコミ操縦で違った解釈ができるように内容をすり替えようとしている節はあります。しかし実際は今述べたとおりです。

会議の冒頭に消防から今回マスコミに患者受け入れを断った病院のリストをその理由と共に公表したいきさつが述べられました。これによると新聞社が手当たり次第に市内の病院へ電話して事実確認を試み、これがうまくいかないと市に対して情報公開請求の手続きをとると迫ったそうです。市としてはやむなく公表せざるを得なかったとのことです。一応謝罪らしきものはありました。しかし診察を拒否したとされる病院より厳しい抗議がありました。その病院へは救急隊は患者の病態は知らせずに今日の当直は何科ですかと尋ね、内科(消化器内科)と整形外科ですと事務当直が応えるとそれでは結構ですと応じて以後連絡はなかったそうです。しかし後日の新聞には拒否の字が躍っていたというわけです。新聞を見るまで当直医は自分が断ったことになっているとは全く知らなかったわけです。救急隊は外科対応できる施設ばかり探していたようです。病院の名誉回復をどうするのかとか、患者の隣人がたまたまリストの病院の職員でお葬式の場で皆につるし上げられそうになったなどの抗議もずいぶん出ました。以上です。なかなかこういうニュアンスは表へ出ませんね。


消える病院~翻弄される医療~ [時事ネタ]

最近、Yahooニュースの医師不足のカテゴリーで医療・福祉寄りの記事が読めるようになったようです。
医師労働、自治体病院の役割、そして国の借金は公共事業などの浪費や大企業・金持ち減税が原因なのに社会保障費ばかりがやり玉に挙げられていることを的確に取り上げた記事です。
ただ貼り付けるだけのエントリーはあまり好みじゃないのですが、多くの方に読んでいただきたいので。

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翻弄される医療(消える病院・全5回の1)

新シリーズ 社会保障が危ない~「改革」の真相4
第2部 消える病院~検証「医療崩壊問題」
上 翻弄される医療

 「医療崩壊とは、健康な時、普段は気づかなくても、いざ自分や家族、大切な人が病気や怪我で本当に困った時に適切な医療にアクセスできない状態を意味する。例えば、産科では、どこにも産めるところがない。救急では、どこも受け入れてくれないことだ。このようなことが全国で〝ドミノ〟現象のように起きている」
 こう語る埼玉県済生会栗橋病院副院長の本田宏さん(外科医)は、「病院から医師が逃げ出し、地域から病院が姿を消している」深刻な実態を告発するために、「誰が日本の医療を殺すのか」という著書を今年9月に出版している。本田さんは「今後、団塊の世代が高齢化し、入院患者増が必至となる爆発的な医療需要期を迎える。このままでは、医師不足で医療は崩壊し、大量の〝医療難民〟が発生するだろう」と危機感を強める。
 では、医療崩壊をくい止めるには、どうすればいいのか? その道筋をたどった。
(山田 利和)

関連記事「国策と地域医療(中の1)」

勤務医は〝過労死寸前〟
 京都府・舞鶴市民病院(236床)「副院長の退職を機に内科医が大幅退職、続いて全員退職~公募による公設民営の予定」
 北海道・江別市立病院(408床)「平成17年8月に12人いた内科系医師が、平成18年9月までに全員退職」
 新潟県・阿賀野市立水原郷病院(408床)「常勤医師の半数11人が退職~1次救急の停止、内科の診療制限」
 愛知県・高浜市立病院(130床)「18年度末までに医師18人全員退職~公設民営で受け入れ先を公募中」
 スライドに映し出される「地域医療崩壊事例」―。
 今年11月23~25日に東京都内で開かれた医療の質・安全学会主催「第2回学術集会&国際シンポジウム」のプログラムの1つ「岐路に立つ医療-『崩壊』から再建へ」で示された。発表したのは、全国自治体病院協議会会長の小山田惠さん。「地域医療が崩壊している」というテーマで、全国各地で進む医療機関の閉鎖や診療科縮小の問題点などを訴えた。

 1つの医療機関から医師が全員退職した例もあるほどの〝異常事態〟が、地域医療を担ってきた自治体病院で起きている…。
 背景について、小山田さんは「医師の絶対数不足が根源にある」と説明した。OECD(経済協力開発機構)30カ国で人口に占める医師数を比較すると、日本は27位にもかかわらず、なお止まらない病院からの医師の〝脱出〟。最大の要因が「病院勤務医は過労死寸前の過重労働に置かれていることにある」と指摘した。  2004年の統計で、日本の医師数は25万7,000人。うち病院勤務医は16万4,000人を占める。勤務医の週平均労働時間は63.3時間、時間外労働は〝過労死ライン〟80時間を超える月93.2時間に及ぶ。小山田さんは「医師の過重労働からの解放。医師に人並みの生活、患者の権利と同時に医師の生きる権利を守ることが喫緊の課題」と訴え、勤務医の最低限度の労働条件として、24時間連続勤務後の休暇▽当直回数の限度▽医療以外の医師業務軽減-などを挙げ、強調する。「このような施策を実施するには、健全な病院経営が成り立つ財政的支援の確保が前提となる」

地域間の医療格差も
 自治体病院は、民間の医療機関では取り組みにくい高度・先進・特殊医療や僻地(へきち)医療、救急、精神、リハビリテーション医療など不採算部門といわれる分野を担ってきた歴史を持つ。現在、全国に約1,000病院あるが、その3分の2以上が赤字経営になっているという(日本自治体労働組合総連合調べ)。
 自治労連によると、自治体病院が財政難や医師確保の困難などで苦しい経営を余儀なくされている要因として、相次ぐ診療報酬の引き下げや政府の低医療費政策に加え、不採算医療を担っていることに対する国の財政措置の削減が影響している。

 一方、政府・総務省は、自治体病院など公立病院の経営構造を〝改革〟するために、「経営効率化」・「(病院の)再編・ネットワーク化」・「経営形態の見直し」を柱とするガイドラインを07年内に策定し、08年度から自治体などに実行を求める計画を進めている。
 自治体病院の再編・ネットワーク化は、一つの医療圏で中心となる病院(中核病院)に医師を集約化して医療機能を充実させる反面、周辺の病院では医療機能を縮小して〝後方支援〟病院・診療所にするという狙いがある。また、経営形態の見直しでは、自治体が財政難等のため赤字病院を支えきれないことから、現在の病院を地方独立法人化することをはじめ、運営主体を民間の法人に移す民営化などを差す。

 こうした動きについて、自治労連は「住民に必要な医療の提供を使命とする自治体病院の効率最優先への傾斜は、医療への国と自治体の責任・役割の後退、住民への負担増や医療水準の低下をもたらす懸念がある」と指摘。再編・ネットワーク化で、身近な病院がなくなる可能性にも触れ、「中核病院のある地域の住民には恩恵を与えるが、病院が縮小される地域の住民にとっては医療水準の後退となり、地域間の医療格差を助長することになる。地域医療のビジョンを住民とともに考えることが不可欠」と訴えている。

借金の犠牲になる医療
 財源問題を理由に、国は財政措置を削減し、自治体も赤字病院を支えきれない悪循環に陥っている日本医療。では、国や地方の財政問題は、医療(社会保障)に原因があるのか? 言い換えると、医療が国や地方の財政難を招いたのだろうか?
 医療崩壊は、地方だけではなく首都圏でも進んでいるとして今年9月に開かれた「病院医療が危ない! 都市部に求められる地域医療を考えるシンポジウム」で、コーディネーターを務めた東北大学経済学部長の日野秀逸さんが、「国の借金」論の中身を解説した。
 日野さんは、小泉内閣発足前の01年に368兆円だった国債発行残高が、06年の3月末には537兆円となり、国の借金は差し引き169兆円も増えたと説明。現在の借金残高は約540兆円で、その3分の1が小泉内閣の下で増大したことになり、「過去のどの5年をとっても170兆円も増えた時はない」と、「構造改革」を強力に進めた小泉内閣時代に最も財政赤字が増加している〝皮肉〟な事実を示した。
 その上で「日本の財政が悪化した主な原因は、公共事業などの浪費による歳出の増加にある。加えて90年代以降は、大企業・金持ち減税で税収が落ち込んだ。さらに、小泉改革によるリストラ促進や社会保障改悪など誤った経済政策によって国民所得が伸びないことも税収が増えない原因になっている。こうした原因をつくり出した政府・与党の悪政に財政悪化の責任がある」と批判した。

 国や地方の財政悪化に関しては、80年代に行われた「日米構造協議」で、アメリカから内需拡大を強く求められた日本が91年度から00年度までに430兆円の公共投資を行う約束をしたことが要因の一つになっている。当時、国は中曽根内閣以降の「臨調行革路線」で民営化や歳出抑制による「増税なき財政再建」を進めており、アメリカとの約束は主に地方に押し付けられた。その結果、国に加え、地方も膨大な地方債(借金)を抱えることになった経緯が複数の文献等で既に報告されている(この430兆円の公共投資は、その後の村山内閣で630兆円にまで膨れ上がった)。

 現在の財政難は、医療とは無関係な事態から生じたにもかかわらず、そのツケを医療が肩代わりする矛盾した構造になっていることが分かる。ルールがないといっても過言ではない国の施策のままでは、医療はどうなって行くのだろうか…。
 その象徴的な実例に迫るため、本州最北端の青森県・下北半島に向かった―。

更新:2007/12/05   キャリアブレイン
http://news.cabrain.net/article.do?newsId=13390


規制改革会議:医療規制緩和、看護師の薬処方解禁 医師負担を軽減 [時事ネタ]

ちょっとタイムラグがありますが、お医者の技量も安くみられたもんだなぁ、という記事があったので。

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政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)が2次答申に向けまとめた医療分野の規制緩和策の原案が6日、分かった。最優先課題に医師不足対策を掲げ、医師の負担軽減のため看護師などが行える医療行為の範囲を広げる法改正を08年度中に実施することなどを盛り込んでいる。また、医療従事者の派遣解禁や、入院日数短縮のため、患者がいくら入院しても病院には一定の報酬しか払わない「定額制」導入も明記した。今月下旬をメドに最終案をとりまとめる予定だ。【大場伸也】

 答申は医師以外の医療従事者も医療行為ができるように医療関連法を改め、勤務医の負担を軽減するよう求めている。具体的には(1)看護師による感冒、便秘、不眠、高血圧、糖尿病などに対する検査、薬の処方(2)助産師による正常分娩(ぶんべん)時の会陰切開、縫合(3)訪問看護における看護師による死亡確認や薬の処方--などの解禁を挙げた。

 医師の派遣については、06年4月から産休の代替要員としての派遣のほか、へき地への派遣が認められたものの、解禁はされていない。また派遣元、派遣先とも医療機関に限定している。答申は07年度中に労働者派遣法の政令を改正し、禁止業務から医療従事者を削除することで、派遣業者でも医師や看護師を派遣できるようにし、派遣先も医療機関に限定しないようにすべきだとした。医療従事者がボランティアで救命手当てをした場合、事故が起きても免責されるよう08年度までに法整備することも指摘している。

 また、入院医療費削減のため「1日単位」の定額制を改め、「1入院単位」とする「診断群別定額払い方式」を07年度中に導入することなども盛り込んでいる。

 「医療従事者の役割分担の見直し」については、経済財政諮問会議も検討するよう求め、厚生労働省は年内に結論を出す。しかし、日本医師会が「責任の所在を明確にする必要がある」などと慎重姿勢を崩していないこともあり、具体案の検討はほとんど行われていない。

毎日新聞 2007年12月7日 東京朝刊

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看護師による薬の処方解禁とのこと。

研修医のころ、発熱が1週間近く続いてなかなか下がらない、勤め先の医務室でいわゆる風邪薬をもらったが改善しない、という患者さんを診ました。
聴診しようとすると、やけにじっとり汗をかいていました。
ただの風邪なら、あとはノドをみて診察終了なんです。

脈を触れると、速い。
首を触れたら甲状腺が腫大している。
なんらかの原因による甲状腺機能亢進症を疑ってエコーを指示、亜急性甲状腺炎と診断されました。

「妙な汗だな」と思ったかどうかで、治療方針が大きく変わった1例でした。
そもそもこの方の場合は経過から「看護師に診断をつけてもらおう」とはしなかったでしょうけれども。

うっ血性心不全が風邪症状で発症することもあります。命にかかわります。

ある病気の名前を知っていて、それを目の前の患者さんに疑ってかからなければ、診断はつきません。
ある分野を担当している看護師さんは、その分野については我々よりもより現場に即したことを知っているし、教えていただくこともたくさんあるのですが、それ以外については研修医のほうが格段に知識をもっています。

診断が確定していて、安定している場合のみ、看護師がdo処方(前回と同じ処方)するのなら許容されるかもしれませんが。

試みにうちの相方(看護師)にきいてみましたが、「そんなのやだー」だそうです。
そういう教育は受けてないし、3年制の専門学校卒の人だっているんだよ、と。
看護協会的にどうなんでしょうかね。
「看護」ではない部分を看護師にやらせようという動きは。
それとも、権限の拡大をチャンスととらえるんでしょうか。
でも、日本の看護師は「医師の指示、責任のもとに医療行為をする」ことが徹底されていますよ。
看護記録には「○○があったため△△医師に問い合わせし、××した」。
直接に看護師がミスをしない限り、「あくまでも△△医師の指示に従っただけですよ」という意味合いを込めて記載されていますから。

無医村の看護師が診療所長的役割を担うことによって、医者を張り巡らせなくてもなんとかなるようなシステムを作ってしまおう、ということの第一段階なんだろうと感じていますが。

> 入院日数短縮のため、患者がいくら入院しても病院には一定の報酬しか払わない「定額制」導入

人間は基本的に生き物ですし、寿命が延びて、基礎疾患をたくさん抱えた方もいて、最短コースで退院できる方もいれば、こじれにこじれる方もいるし、最悪亡くなる方もいらっしゃるわけです。
それを一律にしようという考え方がおかしいと思いませんか。
定額になると、検査をすればするほど、入院が長期化するほど病院の赤字です。
ただでさえ病院経営が難しい診療報酬体系。
必要な検査を渋る、十分な経過観察期間をおかずに退院させる、介護力がない家庭へ無理やり退院させる、ようなことが続発するでしょう。
現にDPCを導入している病院で、術後患者の腹部に管(ドレーン)を留置したままで退院、外来フォローしているところもあるとききますし。

「規制改革」というときこえはいいですが、結局お国の財政事情なんでしょ、と。


18病院が受け入れ拒否 66歳男性死亡 兵庫・姫路 [時事ネタ]

肝臓に持病のある患者が意識がぼんやり、吐血
通報から1時間半後に心肺停止
「症状が重篤と判断したため、内科の救急対応ができる病院へ搬送してほしい、と要請した」

という状況からは食道静脈瘤破裂(または胃・十二指腸潰瘍出血)、ショック状態だったものと推測されます。
あくまで推測ですけど。
緊急内視鏡のできる消化器科医がたまたま当直していればいいけれど、
そうでなければ、生食か乳酸リンゲルを全開で点滴して、大量に輸血を緊急発注して、ハラハラしながら呼び出された内視鏡医の到着を待つ、あるいは転送先を探すほかない。
もしそういう救急車の要請を受けたら、「うちの病院にきてワンステップ踏むよりは、最初から適切な病院に行ってもらったほうがいいだろう」という判断がはたらきます。

・・そういう判断をはたらかせつつも、体制がなくてもとにかく早期に受け入れる必要がある事例だったわけですが。
「止血術できる医師は呼び出しで(例として)30分かかります。それまでに容体が悪化する可能性がありますが、それでもよければ受けます」っていう受け方になるのかなぁ。

なぜ日本の夜間救急はそんなに不甲斐ないんだ!というご指摘は・・・
過去に何度もご説明していますが、日本の医師は平日日中の通常勤務+夜間・休日の時間外労働という働き方をしています。
この勤務形態を見れば、平日日中と、それ以外の時間の医師体制はまったく別物であることがおのずとわかると思うのです。
おおもとのところでは、そういう体制を組まざるをえない医師数政策や、救急医療に十分なカネを払わない(来るか来ないかわからない患者のために医師、看護師、技師等の専門職、物品を配置し、非常事態に備えるのが救急医療です)医療費抑制政策こそが責めを負うべきと、我々は考えています。

それからマスコミ各社ですが、たらいまわしとか、拒否とか、病院の不作為を類推させる言語表現はいいかげんやめませんか。
専門的な技術を持つ医師がいないため他院が適切だと判断した病院、手術や救命措置に追われて断った病院は、たらいまわしたのですか?拒否したのですか?

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朝日新聞

18病院が受け入れ拒否 66歳男性死亡 兵庫・姫路
2007年12月06日20時53分

 兵庫県姫路市で6日未明、肝臓に持病がある男性(66)が吐血し、受け入れ先の病院を探したが、近隣の18病院に「専門の当直医がいない」などと拒否されていたことがわかった。男性は約2時間後、約30キロ離れた同県赤穂市の病院に搬送されたが、死亡が確認された。

 市消防局などによると、6日午前0時7分、姫路市の男性の家族から「意識がぼんやりしていて、吐血もした」と119番通報があった。救急車は3分後に男性宅に到着し、救急隊員が車内から姫路市、兵庫県高砂市、同県太子町の計18病院に受け入れを要請した。だが、拒否が続き、午前1時20分、19病院目の赤穂市民病院が応じた。男性は搬送中の同40分、容体が急変。心肺停止状態に陥り、午前2時17分に同市民病院で死亡が確認された。

 同市民病院は死因を明らかにしていないが、男性は肝臓が悪く、3年前まで通院していたという。

 病院側が断った理由は、「専門の当直医がいない」が11カ所、「ベッドが満床」が4カ所、「処置中」が3カ所だった。国立病院機構姫路医療センターは「症状が重篤と判断したため、内科の救急対応ができる病院へ搬送してほしい、と要請した」としている。

 姫路赤十字病院は脳外科医が当直で、「内科の先生がいる病院を」と回答。姫路聖マリア病院は夜間救急搬送先の輪番制で「内科・外科」の当番に当たっていたが、午前0時ごろから相次いで別の救急患者が搬送されるなど、医師7人全員が手術や救命措置にかかりきりになり、受け入れを断ったという。

 市消防局の浅見正・消防課長補佐は「救急隊員はみんな助けたいと思っていたので悔しい。全国的に医師不足が問題となる中、専門の当直医が減って受け入れを断られるケースが増えている。今回の事案を精査し、新たな犠牲者を出さないよう病院と協力する態勢を作りたい」と話した。

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産経新聞

18病院たらい回し…男性死亡 姫路
12月6日13時51分配信

 兵庫県姫路市の男性(66)が6日未明、吐血するなどして救急搬送された際、近隣の18病院が医師の不在などを理由に受け入れを拒んでいたことが分かった。男性は最終的に約30キロ離れた市外の病院に2時間近くかけて搬送されたが、途中で病状が悪化。搬送先の病院で死亡が確認された。市消防局は「最善を尽くしたが、いろいろな条件が重なり受け入れ先を見つけるのに時間がかかってしまった」としている。
 市消防局などによると、6日午前0時7分、男性の家族から「(男性の)意識がぼんやりしている。目がうつろで吐血した」と119番通報があり、救急隊が出動。受け入れ先の病院を探したが、姫路赤十字病院や国立病院機構姫路医療センターなど18の病院に「専門の医師がいない」「ベッドがない」などの理由で断られたという。
 男性は当初意識があったが、受け入れ先の赤穂市民病院に搬送される途中で心肺が停止。午前1時56分に同病院へ到着したが、同2時17分、死亡が確認された。
 救急搬送をめぐっては、昨年8月、奈良県大淀町の町立大淀病院で高崎実香さん=当時(32)=が分娩(ぶんべん)中に意識不明となり、19病院に受け入れを断られた末、大阪府吹田市の搬送先の病院で後日、死亡。今年8月にも、同県橿原市内で体調不良となった妊婦(38)が11病院から受け入れを断られ、大阪府高槻市内の病院で死産が確認された。
 高崎さんの義父、憲治さん(53)は「救急医療をめぐる問題があると(関係者は)『二度とこういうことが繰り返されないように』と謝るが、何度も繰り返し起こってしまうことが残念でならない」と話している。


厚木市立病院の事例2 [時事ネタ]

朝日新聞のほうがより詳しく掲載されていたようです。
当直体制や、他に急患がなかったこと、患者や医師の状況も記載されています。

> (転送する理由の)説明はなかった。
難しいところです。
ある方の病状を第三者に話すことになりえるので。

経験として、特に冬の混雑時に救急外来に受診した患者さんを2時間ほど待たせてしまうことは少なくありません。
ある日発熱と感冒症状で受診した患者さん、ご本人としてはとてもつらいのはわかるのだけれど、重症度としては圧倒的に「軽症」でした。
「待たせすぎだ」と言われたため「重症の方が優先ですので」と応えたら、「だったら救急車でくればいいんだな」という返事でした。
その方を診る直前まで、うっ血性心不全による低酸素血症のため挿管、人工呼吸に踏み切った患者さん(しかもウォークイン・・)を診察していました。
「貴方を先に診察してる間にあそこのベッドで寝てる方死にますよ」って言ってやりたかったけど、第三者にそんなこと言えませんでしたよ。

> 事務職員が「個人情報にかかわることなので、付き添いの方が救急隊に連絡して欲しい」と対応。家族側は「病院で救急車を呼ぶべきだ」と答えるなどして言い合いになったという。
・・・やはり「事務的」な対応だったのは事実かと。
でも、そんなに早く診てほしいのなら、自宅で救急車を呼ぶなり、せめて病院に連絡してから受診するなり、早々に「貴様なんかには頼らん!」と病院に見切りをつけて救急車を呼ぶなり、できた気はするのだけれど。

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転送先で患者死亡 厚木市立病院

2007年09月12日

病院転送の経過を説明する厚木市立病院の渡辺兼行事業局長(右)と柏木孝之消防長=厚木市役所で

  厚木市立病院(田代和也院長、同市水引1)で8月、救急受付手続きをした市内の無職男性(72)が、診察を受けられずに別の病院に転送され、間もなく急性心筋梗塞(こうそく)で亡くなったことが11日までに分かった。病院側によると「心肺停止状態の別の救急患者が搬送されることになったため、対応できなくなった」ことが転送の理由という。しかし、患者の家族は「(転送する理由の)説明はなかった。対応がひどい」と話している。

  市立病院の渡辺兼行事業局長らが11日、記者会見した。それによると、男性患者は8月12日午前10時17分、男性の妻(67)の運転する車で来院し、急患の受け付けをした。当日は日曜日で、内科1人、外科2人、小児科1人の計4人の医師による当直態勢だった。男性の来院時はほかに急患はいなかった。

  男性は当時、「頭が痛い」と訴えていたが、自分で歩き、意識もあったという。受付横のイスに横たわって体温を測っていたところ、「心肺停止状態の急患が搬送されてくる」との連絡が救急隊から病院に入った。そのため内科、外科の医師3人は心肺停止状態の患者にかかり切りになることから、市立病院側は「男性側に別の病院に移るように説明した」。ただ、転院を求めた理由については言及しなかったという。

  その後、事務職員が「個人情報にかかわることなので、付き添いの方が救急隊に連絡して欲しい」と対応。家族側は「病院で救急車を呼ぶべきだ」と答えるなどして言い合いになったという。心肺停止患者の搬送で院内にいた救急隊員がやりとりをみて救急車を手配。男性は市立病院到着から約39分後に市内の別の病院に転送。しかし、搬送先の病院に到着して間もなく急性心筋梗塞で亡くなった。

  男性が県立病院時代から通院していたことから、妻は「通い慣れた市立病院で診てもらいたかったのに対応がひどい。急患が来るという説明はなかった」と話している。

  市立病院の取り決めでは「病院が救急車を依頼するのは医師と看護師が同乗する場合に限る」としている。今回の場合は男性の様子から重篤ではないとの判断と、診察をする前だったことから取り決めに従って家族側に救急車を呼ぶことを求めたという。

  渡辺事業局長は「病状を知っている本人や家族が救急隊に説明して搬送先の病院を決めるのが原則。ただ、今後は希望があれば病院側が電話をかけ、その後に患者や家族に代わる方法をとるよう柔軟に対応したい」と話した。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000709120004


時間外にどれだけ対応できるか~厚木市立病院の事例 [時事ネタ]

亡くなった方のご冥福をお祈りします。

356床のこの病院の救急診療体制は外科系医師2人、内科系医師1人、小児科医師1人。
http://www2.city.atsugi.kanagawa.jp/hospital/byoin03/page_1911.html
緊急放送をすれば医者が湧いて出てくる平日の日中とはまるで状況が違います。
病棟患者は安定していて、すべての医師が救急対応できる状況だったのでしょうか。

心肺停止患者が来院するまでの限られた時間に、この方を診察することはできたかもしれません。
が、挿管(気道確保のチューブ)や除細動器(いわゆる電気ショック)、点滴、検査の準備など、心肺停止患者を受け入れる準備に追われていたことは間違いありません。
心肺停止患者が来院したら、どれだけ少なく見積もってもベテラン医師1名、普通は2名の医師はそちらにかかりっきりです。
医師、看護師あわせて、どれだけ少なく見積もっても4名は必要です。
多ければ多いにこしたことはありません。

頭痛訴えたこの患者さんが、看護師のトリアージで優先的に診察を受けられたかどうか、問診看護師が「心電図をとりましょう」と進言するような症状を示していたかどうか、その場にいなかったものにはわかりません。
他の患者を診ていたためか、この方の診察がなかなかできなかった理由は報道のみからではわかりません。

救急外来が混雑している場合、順番待ちできると判断されたら1時間でも2時間でも待っていただくことはザラです。
医師はできるだけ早く多くの患者さんを診ることで精一杯なので、待合に出て対応している余裕はありません。
優先順位が高いと判断されなかったのであれば、処置で手一杯だったであろう看護師が患者さんのもとにうかがわなかったのも無理なかったものと思われます。
症状の悪化がみられたのであれば、事務(医学知識に関しては一般の方とほぼ同レベル)が自らの判断のみで対応したのはまさに「事務的」に過ぎたのは確かです。
まずは看護師に連絡し、それでも人手が足りず診察できないようであれば救急車を要請せざるをえなかったかもしれません。

トリアージでこの患者さんが優先的に診察され、急性心筋梗塞と診断され、循環器科医の呼び出しがスムースにできれば、救命できた可能性は高まります(とはいえ、数時間の経過なので、致死性不整脈を起こして残念ながら亡くなっていた可能性は少なくありません)。
循環器科医が呼び出せず他院に転送になっていたら、心肺蘇生をしている傍らで転送先を探す電話かけをしなければならない悲惨な状況だったことでしょう。

当院の話ですが、当直中に緊急手術があり、緊急手術のさなかICUで急変があって、救急外来をみられる医師がゼロになったことがあります。
その間、看護師の判断でかかりつけの患者さんであっても救急車をお断りし、来院された方も待てないのなら他院へとご案内したとのことでした。
夜間、休日の病院なんてその程度の医師数しかいないのですが、手術の手を止めて救急車を受けるべきでしょうか、ICU患者を放り出して外来患者を診るべきでしょうか。
このニュースの事例が特別なのではなく、どこの病院でも起こりえることだと感じます。

毎度のことですが、病院が悪いと決めつけるには、情報が足りません。
昨今の産科医療の報道と、きっと変わらないと思うのです。
こんな酷い事例があった!
ここの病院が悪い!
後になって検証したら、病院はがんばっていたらしい・・・。
産科(この件でいえば救急)医療体制を見直そう!

またこうして、マスコミは救急医療に従事しているものの志をへし折って、何事もなかったように「国民のニーズに応えています」「社会を良くしました」というツラをするのかなぁ。

ちなみに、救急専門医は、日本にはそれほど多くありません。
普通に内科や外科などを専門にしている医師が、「片手間」にやっているのが現実です。
つまり、ほとんどの医師が関係していることなのです。

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厚木市立病院:「他に急患」診察せず、転送直後に死亡--先月 /神奈川

 厚木市立病院(厚木市水引1)で8月、当直中に救急受付を訪れた市内の無職男性(73)が診察を受けないまま別の病院に転送され、直後に死亡していたことが分かった。市立病院側は「心肺停止の患者が搬送される予定で、男性側に『対応できないので他の病院へ行ってください』と説明した」としているが、遺族は「事務職員しか対応せず、そんな説明も一切なかった」と食い違い、市立病院の対応に憤っている。

 男性の妻(67)の話では、日曜当直体制の8月12日午前、男性が「頭が痛い」と訴え、妻の運転する車で同病院を訪れた。救急受付の脇のソファに横になり、看護師が妻に体温計を渡した。いっこうに診察してもらえないので催促すると、職員から「1時間半待つことになる。(嫌なら)他の病院へ行って」などと言われたという。別の患者を搬送してきた救急隊員がやりとりに気づき、見るに見かねて救急車を要請。別の病院に運ばれたが、直後に急性心筋梗塞(こうそく)で死亡した。

 市立病院事業局は取材に対し「心肺停止状態の患者が搬送されることになり『救急車を呼んで別の病院で受診して』と話したが、男性側が『病院が救急車を呼ぶべきだ』と主張したので『規則で、病院が救急車を呼ぶのは医師、看護師が同乗する場合だけ』と説明した」と話している。

 男性の妻は元看護師。男性は以前に心筋梗塞で市立病院の前身の県立厚木病院に入院したという。「待っている間、医師も看護師も来なかった。市立病院の対応はひど過ぎる。こういうことが二度とないよう、声を上げることが大切と思った」と話した。【佐藤浩】

http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/kanagawa/news/20070911ddlk14040579000c.html


守秘義務という視点で~奈良妊婦死産2 [時事ネタ]

こちら(http://blog.so-net.ne.jp/side_B/2007-08-31)の続編です。

「昨日の晩から出血している」「流産の可能性がある」
やはり、この方には子どもを大切に育てようという気はなかった、と思わずにはいられない。

話題の焦点とはまったく違うのだが、公務員である消防署員の守秘義務についてはかねがね疑問に思っている(救急隊が悪い、とかそういう責任論のことを言いたいわけではまったくない)。
私は、もし消防署のご厄介になることがあっても、自分が災害で救助されたときや救急搬送されたときの状況を事細かに公表されたくはない。
震災でお子さんを救助したレスキュー隊員や今回の救急隊員は、本人や保護者の同意を得てインタビューに応じているのだろうか。
今回死産した方は、このような形で世間が大騒ぎすることを望んでいるのだろうか、それとも居室から出ることもはばかられるような生活を送っているのだろうか。

医療職では、医師の守秘義務は刑法、保健師・看護師の守秘義務は保健師助産師看護師法、・・と各職種守秘義務を課せられており、公務員も国家公務員法・地方公務員法で職務上知りえた秘密は守らねばならない。
隠蔽だと罵られても、患者の秘密は、司法等の例外を除いて、守らねばならない。

我々医師は、交通事故で救急受診された場合など、警察が相手であっても、本人の同意なく第三者に事情を話すことはない。

なぜ、救急隊員は感情を吐露して「苦渋」であって、医療現場で修羅場をかいくぐっている人間は限定的な状況説明をせざるをえず、その上「言い訳」と罵られねばならないのだろうか。

繰り返すが、マスコミは現役で現場を支えている産科医や、これから現場を支える後継者の芽を摘んではならない。
正当な検証なく我先にと「受け入れの余裕があった」など悪意に満ちた報道をし、日々奮闘している医師を一夜にして日本中のさらし者にしていては、ますます産科医の志をへし折り、安心して子どもを産めない世の中をつくっていくだけなのである。

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「苦渋…」妊婦死産 搬送の救急隊員語る
9月6日13時11分配信 産経新聞

 奈良県橿原市の妊婦(38)の受け入れ病院探しが難航し、死産した問題で、救急車で妊婦の搬送に当たった中和広域消防組合・橿原消防署の中村寿孝消防士長(32)が5日、産経新聞の取材に応じ「すぐ運びたかったが、受け入れ先がなく、動けなかった」と悔しさを語った。千葉市内でも最近1年7カ月の間に45人の妊婦が救急搬送の受け入れ拒否にあっていたことも判明。周産期医療体制の問題の根深さが改めてクローズアップされている。
                   ◇
 ■「受け入れ先なく動けなかった」「急ブレーキ避け徐行したが…」
 「橿原市醍醐町のスーパーで急病」。同組合通信指令課から同署に搬送指令があったのは、8月29日午前2時47分。運転担当の中村さんは、救護隊長や救護員とともに1分後には救急車に乗り込み、4分後に現場へ。スーパー入り口前のベンチで横になっていた妊婦は「昨日の晩から出血しています。痛い…」と訴えた。
 「流産の可能性がある。産婦人科のある病院を手配してほしい」。指令課に連絡し、すぐに妊婦を救急車に乗せた。
 ほどなくして指令課から「奈良には病院がないので大阪をあたる」と連絡があった。この後延々と病院探しが始まった。
 「遠くなって申し訳ないが、大阪になりそうです」と隊員が告げた。付き添いの男性は「一度家に帰って朝に近くの病院に行きたい」と答えた。だが「流産の可能性がある。このまま病院に行った方がいい」と説得し、妊婦も「病院へ」と訴えた。
 だが、搬送先はなかなか決まらない。
 「現在の状況を!」(救急隊員)
 「〇〇病院に交渉中」 「処置中ということで無理だった」(指令課)
 こんなやりとりが何度も繰り返された。
 隊員は「なかなか決まらず、すみません」と妊婦に話すと、妊婦は小さくうなずきながらじっと待ち続けたという。
 「大阪の高槻病院に連絡がついた。搬送してください」。約1時間半後の同4時19分、中村さんはハンドルを握った。隊員が「これから搬送します」と妊婦に伝えると、付き添いの男性が安堵(あんど)の表情を浮かべた。
 同4時半、妊婦が突然「出る、出る」と苦しみ出した。少量の出血。隊員は「ゆっくり深呼吸して。今病院に向かっているから落ち着いてくださいね」と声をかけた。

 同5時6分に破水。そのすぐ後に、救急車は高槻市内の国道交差点で軽乗用車と衝突した。事故直前、雨が激しくなり、視界が悪かったという。
 「交差点で急ブレーキをかけると妊婦に負担をかける。少しずつ徐行しながら交差点に入ったときだった」と中村さん。「高槻消防の救急車を呼んだので移しますね」と妊婦に説明した。
 同7時ごろ、中村さんら隊員は高槻病院へ行き、付き添いの男性に謝罪。消防署の連絡先を記したメモを手渡した。
 「患者の不安や痛みを少しでも和らげるためにも、受け入れ先がすぐに決まるようなシステムにしてほしい」。中村さんは、切実に語った。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070906-00000925-san-soci
出典が見つからなかったのでYahooのURLで。


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