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経験をつんでも、辛いものは辛い [お医者のキモチ]

半月前に書いてあった記事をアップ。

自分はちょっとやそっとのことでは動揺しない、とまわりから見られているらしい。

オーベンからは「センセーはお酒飲んでも顔色変わらないし、受け答えも変わらないし。一度化けの皮をはがしてみたいんだよねー」と。

まぁ、確かに、思ったことをすぐに口にするほうじゃない。
相方や親しい友人と話しているときは「どんな冗談で切り返してやろうか」って考えるとこでも、他の人に対しては、そういうのは苦手。
損してるといわれるし、自分でもそう思う。

この前、ちょっかいを出し合ってる研修医に「膝カックン」(古っ)したところをオペ室ナースに見られた。
「へ~、センセーってそういうキャラだったんだ~。今度から私たちもやりますから!」
心の間の氷って、妙なところから溶けるものだ。


先日、歓迎会という名目のオペ室の食事会があった。
何かの話の流れで副院長が「センセーって患者さんが亡くなっても動揺しなさそうに見えるけど」と。
私「そんなことないですよ。そういうときは声が上ずっちゃいます」
科長も「私も付き合いの長い患者さんが亡くなると泣いちゃうのよね」
副院長も「感情が入っちゃうから『これは他人事』と心の中でつぶやくようにしてる。じゃないともたないよ」と。
どれだけベテランになっても、看取りは辛いんだなぁ。
当たり前って言えば当たり前のことなんだけど、人の死に立ち会う辛さは、この先30~40年ぐらい甘受し続けるんだなぁ。

…一方、残念ながら医療職には悲嘆にくれている時間が与えられていない。
私「でも、次の瞬間には、笑顔で別の患者さんに会いに行くんですよね」
副院長「そうそう、そういう演技みたいな技量が医者には必要なんだよな。次の人には、元気になったねぇ、よかったねぇって」
我々だってもちろん悲しいのだけれど、患者さんが亡くなったときにせよ、悪いことを伝える病状説明の後にせよ、それとは無関係な、軽快傾向のある患者さんに涙目、涙声で会いに行くわけにいかない。
かといって、30分も1時間も悲嘆にくれていては、仕事が終わらない、指示が遅くなると他職種の仕事にも支障が出る。

学生のころ実習先で指導医が、Aさんの術前の病状説明中に、Bさんが亡くなりそう、という事態に直面した。
Aさんには笑顔を見せつつ説明し、呼ばれていってBさんのご家族に神妙な面持ちで対応し、ということを繰り返した。
プロってこういうものなんだと思ったものだけれど、今現実に、自分がそうしている。

「動揺」から、ベテランになっても人の死はやはり辛いものであり続け、それを引きずってその日1日を過ごすことが許されないという思いも変わらない、ということをきけたお話でした。






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よりよく生きてもらうということ [お医者のキモチ]

外科医になった理由の一つは、もともと元気な人が、元気になって帰って行くからだった。
実際、経験の少ない今のところは良性疾患(ヘルニア、胆石、虫垂炎など大雑把にいえば癌以外)の方が圧倒的に多い。
悪性疾患(癌など)でも治癒切除、あるいは補助化学療法でそれなりの予後を期待できることが多い。

それでも、順調な経過をたどった方々よりも、ごく一部の治療に難渋した方、予後が厳しい方のほうが、印象に残る。

根治切除を目指すけれど、取りきれない場合は断念して食べ物が通過する経路を設けるにとどめる、という患者さん。
術中所見から、残念ながら後者になった。
明日にはすっかり麻酔も覚めてしっかり話もできるようになる、が、はたしてどんな顔して会いに行けばいいんだろう、、、。
「取りきれた」などの嘘になることはけっして言わない。
会話の中で訊かれた範囲で、嘘にならない範囲で、状況を話す。
ご本人の術後の回復と、術中・術後にありのままを話してあったご家族の気持ちの整理を待った。

「大手術」にならなかったがゆえに術後の入院継続期間が長期になる必要はなかった。むしろ少しでも早く退院するように動機付けして、少しでも長く家で過ごしてもらいたかった。
医療スタッフや家族が「うまくいったよ、順調だよ」と嘘をつきとおしても、元気に日常生活を送れなくなるのは時間の問題であり、そのとき必ずやご本人と家族、スタッフとの間に行き違いが生じる。
およそ1年と残されていない時間、比較的元気に体が動くうちにご本人にはやっておきたいこと、行っておきたいところ、家族に残すものの整理、連絡を取っておきたい人、さまざまなことをすませてほしい。

最終的にはご家族の意向に沿うようにします、という前置きをした上で、ご家族に、ご本人にも予後が厳しいことは伝えたほうがよかろうと話し、納得された。

当然にご本人もショックを受けていたが、翌日には、話してくれてよかった、よくなったって言われても手術時間からしておかしいなぁと思っていた、とお話してくださった。
ご家族のがんばりもあり、ご本人の早く帰りたいという気持ちもあり、「お話」から数日後には退院になった。

・・・・その頃、他の方の術後経過が良好だったり、腹腔鏡下手術は難しいと思われた方が開腹にならずにすんだり、全体としては調子よかった。
だが、ひとり予後不良な方がいたり、ひとり術後経過が思わしくない方がいると、頭はそちらばかりに向いてしまう。

最近、結構悩んでいる。
悩んだって仕方がないし、誤解を恐れずに書くと手術好きだし、やっぱり自分は(高齢者が多く、基礎疾患が複雑という意味で)内科医にはなれないけど。

60代、70代、ときには40代で、発見された時には切除不能な進行癌、あるいは術中に腹腔内への播種が判明するという方が、それほど珍しくない。
つい先日まで平穏な社会生活、家庭生活を営んでいた方が、不調を訴えて精査した、手術を受けたその日を境に、切除不能癌患者になる。
そしてその家族も、治らない癌患者の家族になる。
鮮明な理解力をもった世代が切除不能癌と告知され、自分がそうであることを日々思い起こしながらときを過ごすのと、
80代、90代の方が重症肺炎や虚血性心疾患などにかかるのとは、状況がまるで違う。
治らない癌の場合、数ヶ月、化学療法が奏功しても(消化器癌に関しては)数年先には、必ず終末期を迎える。

よりよく生きてもらうために力を注ぐことは、よりよい死を遂げてもらうために力を注ぐことと紙一重。
医学的な支援を約束し、社会資源の活用を促し、その方の人生の一部を支えるためにがんばっているのだけれど。
半年や1年以内には、笑顔で歩いている目の前の患者さんはもういないだろうという、その現実を受け止めきれない。
医師という職業を選んだ以上避けては通れないのだけれど。

じゃあどうしたら自分は悲しい思いをしないで済むようになるんだろうって考えたら、進行癌を出さない、つまり検診業務に精を出すことなのかな。
でも当分は一線の外科医をするつもりだから、検査を勧める、胃カメラで早期癌を見落とさない、かな。

あの患者さんやご家族にこれは話しておきたい、こんなことを知りたいかな、どんなふうに話そうかな、ということを、医局で一息ついていても、通勤の途中でも、家にいても、考えてしまう。
経験を積むうちに脳内マニュアルが構築されていくだろうし、慣れないとこの先30年以上やっていけないとは思うんだけど。






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救急車は「受け入れ困難」なのであって・・ [お医者のキモチ]

年末、専門医試験の不正が新聞の一面トップに出ていました。
業界団体の認定試験がこんな大扱いとはたいしたもんだなぁと思う。

こうして専門性を追求する一方で、
医者だったらなんでも診られて当然、(専門家による治療が必要な症例も)断るなんてご法度、という世論。

もちろん、不正が正当化されるなんて毛頭思っていませんけど。

最近の報道を見ると、いつ自分が「たらいまわし」の犯人としてマスコミや世論に袋叩きにされてしまうか、と思ってしまいます。
早期に治療を開始されなかった事例が日常的に表面化するのは本当に悔やまれることです。
しかし、日本中の医師たちが、自分の健康を害して、家族との生活を犠牲にして、労働基準法度外視で救急医療を支えているのに、、病院が悪いというばかりで原因探しは後回しの報道には、くやしくて涙が出てしまいます。

年末年始の輪番の日に、救急外来当直でした。
昨シーズンのように嘔吐下痢症のお子様たちで手一杯ということはなかったのですが、やはり大変込み合いました。
救急外来の、ベッドは当然のこと、ストレッチャー、診察台をフル稼働しても、患者さんが寝る場所がない。
救急車の「断り文句」として登場する「満床」「処置困難」というのは、こういう状況のことも含むと思います。
やっとベッドが空いて救急車を受け入れられる段になって、次の要請がただの酔っ払いだったりするのでやってられません。

救急車の受け入れ要請を受けて、8割方自分でも対応可能だろうと思った事例がありました。
残りの2割、万が一の臓器損傷に対応しきれない可能性がある、、ここで見栄を張るのは患者さんのためにならないと判断しました。
それでも、この方が他院にも断られ続けたら、当院も一躍「たらい回しの悪党」の仲間入りなわけです。

かったるいから救急車を受けないんじゃないんです。
無理に受け入れることでその方の適切な治療が遅くなったり、他の患者さんの治療がおろそかになったりする可能性を電話口の限られた情報から判断しているんです。

で、今日見た新聞の記事ですが。

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急患対応に調整役 たらい回し対策 地元医師ら配置
2008年01月07日
http://www.asahi.com/health/news/TKY200801060150.html

 救急患者のたらい回しが起きた時には「調整官」に対応させます――政府は4月から、急患の搬送先の医療機関が見つからず手遅れになるのを防ぐため、搬送先を探して、受け入れを依頼するコーディネーターを全都道府県に置く事業を始める。救急隊の手間を省いて、搬送時間をできるだけ短くする狙いがある。

たらい回し対策のイメージ

 コーディネーターには、医療知識に加え、地元事情にも詳しいことが必要なため、地元の医師を充てたい考え。平日の夜間(午後4時ごろ~翌日午前8時ごろ)と休日(土・日、祝日)をカバーできるようにする。

 実際の運用は各都道府県に委ねるが、例えば、救急隊が五つ以上の病院に受け入れを拒否されたり、病院探しに30分以上かかったりした場合に、コーディネーターが受け入れの依頼に乗り出すことを想定している。

 費用は、1県あたり年約3000万円を見込んでおり、都道府県と国が折半して拠出する。このための厚生労働省の08年度予算案7億円が、すでに昨年末の復活折衝で認められている。

 救急患者の搬送を巡っては、昨年夏に奈良県の妊婦が11病院に受け入れを拒まれた末に死産するなど悲惨な「事件」が起きていた。総務省消防庁の調べでも、06年に産科・周産期の病院に救急搬送された約3万5000件のうち、病院から5回以上受け入れを拒否されたケースが220件あった。

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いいかげん「たらい回し」「拒否」という医療側の不作為を類推させる表現はやめましょう。

この構想、「地元の医師」とはどんな人のことを言ってるんでしょうか。
現役でバリバリ働いている医師は、コーディネーターなんぞやってる暇があったら現場で働いてください。
一方、引退した医師だからといって「コネのある病院に救急車を受けさせる」なんてことは現実的ではありません。
無理なものは無理なんですから。

救急車を受け入れられるかどうかなんて、5分10分刻みで刻々と変化しうるものなんです。
病院に受け入れ可能かどうかをその都度オンラインシステムに入力せい、というのは労力の無駄です。
そんな暇があったら患者さん一人診られます。
一度に複数の病院に連絡を取り、受け入れられると返事した直近の病院に搬送するようなシステムを導入するとかしないと、7億円がパーのような気がしてなりません。


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師走 [お医者のキモチ]

おじさんの葬儀が済んで以来、
オーベンの出身医局で症例報告をさせていただいたり、
母の還暦祝いに遅刻して行ったり(フグうまかった)、
忘年会(医局、病棟、手術室の3回)に出たり、
ちょっと遅い結婚記念日の食事に行ったり。
師走とか何とか言って、忘年会で飲んだくれてるせいで忙しいんじゃないかという説も。

仕事のほうも定例の手術日だけでは収まりきらず、仕事納めまで毎日手術。
癌の術後患者さんやそのご家族に病理診断や今後の治療方針をどう伝えようか、とか、
っていうかこの患者さんに最適な化学療法ってどれなのよ、とか、
今度の(定型的でない)手術はどんなアプローチをしたらいいんだろう、とか、
悩みも尽きず。

昨日本屋さんで惚れた消化器外科の本、1冊25000円、2冊組・・・。
・・・そこまでは投資できず・・・13000円のにした。
それと消化器化学療法の本3000円。

今日は相方がサックスを教えてもらっている教室の発表会兼クリスマス会。
相方が吹いてるのをきくのは初めてだったんだけど、結構うまかった。
緊張に耐えてよくがんばりました。
バイオリンの皆さんも、サックスの皆さんも、すごいなぁ、上手でした。

自分だけ一足先に会場を出て同期と鍋の予定が、その道すがら呼び出し電話が。
緊急手術のため鍋にありつけず、久々に会いたかった同期にも会えず。

今までに3人の人に言われたんですが、休日に、「お医者さんなんですよね、今日はお休み?」って。
お医者が休みなく働いているという認識をもっていただけるのはありがたいのですが、365日働きづめじゃなきゃいけないってことはないでしょうに。
それでは身も心ももちません。
お医者だって、休日ぐらい(っていってもいつ呼び出されるかわからないけど)相方や友達とのんびり過ごしたいのですよ。


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ジェネリック(後発医薬品) [お医者のキモチ]

大部屋の入院患者さんと話していて、薬代だったかなんかの話から
「ここの病院はジェネリックが多いんで・・」と言ったら、
部屋中が「それはいいことねぇ」という展開になり、
「一概にそうとも言えないですよ・・」と言っても
「安いほうがいいのよ」となってしまいました。

有名人を起用した製薬会社のCMあり、政策的な誘導あり、一般的なイメージではジェネリック(後発品)は良いもの、先発品はなんだかよくわからないけど高い薬、なんじゃないでしょうか。
例えば1錠100円、というと、患者さんの経済的負担の大きさは相当なものです。
後発品が採用になるたびに周知されるのですが、実際、先発品の半額近くなることがあります。

試みに
同じ成分♪同じ効き目♪
と豪語している某製薬会社のホームページを訪ねてみました。

「医療関係者向け」ページでいろいろな薬剤の情報が閲覧できますが、
その中で先発品との比較資料となりそうなものは「同等性資料」、「溶出試験」の2つ。

・いずれも全部の薬剤について閲覧できるわけではありません。

・ここでいう同等とは、「先発品と同等の血中濃度を示した」ということです(内服薬、注射薬については10~20人程度に内服、あるいは筋注して、時系列で血中濃度を比較する)。

・溶出試験とは、薬剤をいろいろなpH下において、先発品と同等に溶け出したということを示す資料です。

もちろん 同じ成分♪ なのでしょうが、
実際の患者さんに投与して、先発品と同等の効果であった、という試験はありません。
これで 同じ効き目♪ と言えますか?

風邪薬程度なら、「安いに越したことないか」でも、まだいいかもしれません。

外科(に限りませんが)では、抗癌剤を扱っています。
後発品に変更してよいかという提案に対して、
「患者さんが人生かけてる薬を後発品に変更して、もし『先発品のほうがよかった』なんてことになったらどうするの?」
という声があります。
循環器科など、他科でも同じような例がいくらでもあると思うのです。

患者さんの経済事情、国家の財政事情という側面では安いに越したことはありませんが、それが必ずしも全面的に患者さんの利益になっているとは限りません。


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「大変な職業についてしまった」 [お医者のキモチ]

またもや更新サボってますけど。
最初の2週間は、ネタないからまあいいや、で、あとの2週間はそれどころじゃなかったので。
とはいえ、今日書くのはしばらく前の話です。
職業柄、あまりリアルタイムでは書きづらい内容もあるわけで。

約2年前、医師になりたてのころ、「これは大変な職業についてしまった」と、戸惑いというか、焦りというか、不安というか、に襲われました。
内科でいえば肺炎、外科でいえば鼠径ヘルニアの入院治療がどんな経過をたどって、一般的に何週間で退院できるのか、もいまいちわからない状態。
知識としてはいろいろ知っていても、どの点滴製剤をどれぐらいのスピードで使って、どの薬何mgを何回にわけて、なんてことは、大学の医学教育ではあまり実践的には行われていない(国民の期待に沿わないであろう現実だが、逆に医学生にここまで踏み込んだ実習をさせることに国民的な合意が得られるとも思えない)。
そんな若葉マークの自分が、指導医と相談しながら、必要に応じて軌道修正をしながら、患者さんの治療にあたっていました。
時には予約外で技師さんに頼み込んで先手先手で検査計画を立てないと、自分のせいで患者さんの入院期間が延びてしまいます。
働き盛りの方はできるだけ早く退院して仕事に復帰していただかなければなりません。
高齢の方は手術などの積極的な治療を勧めるかどうかという医学的な側面はもちろん、独居や日中世話をする人がいない方に安全に退院してもらうにはどうするかも考えなければなりません。
手に余るような重症の方は、なんとか真っ白になりそうな頭の整理をつけて、自分なりの考えをまとめて、循環器や透析などの専門の先生に泣きついて意見をきき、しかるべき対処をしなければなりません。
救急患者さんへの適切な対応も、現実にはひとつひとつの積み重ねで学んでいきます。
若葉マーク研修医の実態はこうでありながら、ベテランナースから指示を求められ、病棟スタッフはもちろん、薬局、検査、リハビリなど各部署に「指示」を出し、患者さんからは「(看護師ではなく)先生から説明してほしい」といわれるわけです。

自分のさじ加減ひとつで、少なくとも短期に、場合によってはそれこそ人生全体を狂わせることになる職業であると、いまさらながらに認識したことを覚えています。

3年目、外科医になってから、それに近い「恐ろしさ」を感じるできごとがありました。
精査入院で予後の長くない病状が判明し、希望で在宅療養をすることになった方。
家族から、「本人は『元気になったら~~しないとね』と先々の話をしていているが、家族としてはそろそろ身の回りの整理をしてほしい。先生から今一度病状の説明をしてもらって、『準備』するようにほのめかすきっかけにしたい」という趣旨のお話。
目がうるうるしそうでした、実は。
これは大変な役目を仰せつかってしまった。
私のような若輩者に、一言で言えば、引導を渡してやってくれ、というわけです。
「なんて職業についてしまったんだ!」という感覚が蘇るのがわかりました。
後日、いつもどおりに、優しく、笑いを交えながら、今後の療養上のことを話し、そしてその中で死の準備を促し、患者さんは退院されました。
少しでも元気な状態で、穏やかにご自宅で過ごせているといいのだけれど。


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実家、外来待ち時間 [お医者のキモチ]

久々に実家の最寄り駅下車。
といっても隣の駅だけど。
内装が妙に明るい。エレベーターの色も変わった。

今日も実家でご飯食べて、うちに帰るつもりだった。
事前連絡で、直接行って、帰りは送ってもらうということにした。

実家にいてもやることないし・・新聞読むぐらいか。
でも、ストレートには言わないけど、言外に「なんだ、泊まっていかないのか(飯喰いに来ただけか)」というのを感じる。
いずれにしても、直接実家に帰ったから明日の出勤に堪える服がないわけで・・。
(車で)送ってくれるって言ってたのに、ビールコップ1杯とはいえ母も飲んでるし。

なんだか疲れたから、もう来週まで実家行くのやめようかな、、。
でもミニトマトとワイルドストロベリーの水遣りを頼まないといけないし、、。
とりあえず明日は当直だからこういう難しいことを考えずにすむか、、。
お世話になっておきながら悪いんだけど、面倒。

結局、車で送っていくというのを固辞して歩いて帰宅。

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外来で『待たされる』という表現をされるのは心外だ。
怪我で定期的な受診が必要な患者さんに「○日ごろ来られますか?」ときいた返事が「○曜日まで仕事で無理です!」
腫れても膿んでも、痛いのは我々ではないんだけどなぁ・・。
働き盛りの方がなかなか受診しづらいのはわかっている、「次はこの日ね」などと一方的に言い放つことなどしない。
が、我々だって昼間働いて、夜は家庭に帰るのは、同じことなのだ。
病院は、コンビニではない。

継続的に病院にかかっている父(非医療系、定年退職後)が「○○病院で待たされるのが嫌なんだよな、調子いいですねっていって薬もらうだけなのに」と。
→「あなたが2,3時間待ってる間、我々はず~っと2,3時間外来やってるんだよ」

「もっと空いてるとこに紹介してもらえば?」→「小さいとこだと血液検査の結果がその日のうちに出ないんだよなぁ」
「血液検査の結果が出るのを待つのが嫌なんだったら、あらかじめ採血だけ受けておいて別の日に受診すれば?」→「・・・」

世の中の患者さん、こんなもんなんだろうな~、と。
診療開始時刻からあなたを診察するまで、外来の医者は、看護師さんとお茶してるわけでもなく、昼寝してるわけでもなく、ず~っと、他の患者さんの話を聞いたり、診察したり、処置したりしてるわけですよ。
一人出て行ったのになかなか次の患者さんを呼び入れないときは、取り急ぎの診断書(警察や職場などに出すもの)を書いていたり、紹介状を書いていたり、初めてお目にかかる患者さんの経過を把握するためにカルテを読み返していたり、するわけです。

「外来担当医を増やせばいいじゃないか!」→医者の仕事は外来だけではなく、検査や、手術や、入院患者の病棟業務を分担してまわしているのです。
外来一辺倒では入院患者の治療がまわっていかないし、検査や手術は何週間、何ヶ月待ちになってしまいます。

「じゃあどうすれば待ち時間が短縮されるんだ!」→医師、看護師を増やしてください。または3分診療にご協力ください。またはフリーアクセスをやめて、完全予約制にしましょう。
それぞれの病院で、その時間に外来に出せるほぼ最大数の医者を外来に動員しているので、外来担当医を増やすことは多くの場合難しいと思います。それならば、国政レベルでスタッフの絶対数を増やすという方法が一つです。
次に、ある患者さんに要した時間がそのまま次以降の患者さんの待ち時間に反映されますので、できるだけ要点をまとめて一人当たりの時間を短縮することが、全体の待ち時間緩和につながります。
最後に、完全予約制、一人当たりの持ち時間を決めて受診するという方法があります。定数を超えた予約を受けなければ、予約患者さんは予約外患者に割り込まれることなく定時に診察を受けられます。
予約外はどうするか?→救急外来で何時間でもひたすら順番待ちをしていただきましょう。日本人が真似したがる「欧米スタイル」の一例では、まずホームドクターに予約して受診(この時点で日、週の単位)、専門医に受診するときはホームドクターの紹介状が必要です。日本の外来が混雑するのは、いつでもだれでも受診できるからであり、予約枠を超えてでも多くの患者を診ようとするからなのです。

建設的とはいえませんが、現状について触れてみました。


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職業について [お医者のキモチ]

先日実家の近辺を歩いていたら、中学の同級生Tに遭遇。
大学進学でこちらにいなかったのもあって10年近くあってなかったけど、すれ違いざまにお互い足を止めた。
旧知の仲だと、自信もってわかるもんだなぁ。
これまでにも「もしかしたらあの人かも」と思っても声掛けられない人いたし。

地元の友達(といってもサンプル数2だけど)には「お前はすごいよなぁ、言ってたとおりの仕事に就いてて。」という趣旨のことを言われる。
取り柄といえば「治安」がいいことぐらいで平々凡々な公立小中学校だったから、大学に進学した人は少なくとも多数派ではなかった。

ひたすら一生懸命勉強して、医者になれた。
振り返ると、浪人の時が一番勉強したかも。
親には1浪までって言われてたし。
もちろん大学でも普段から勉強してたけど。
いやいや、思い出してみると学生のころもテストに明け暮れて大変だった。
医師国家試験を「9割も合格する試験なんて」という人もいるけど、知識量が半端じゃない。
積み上げたら50cmぐらいになる問題集を、講義や実習の傍らでみんなコツコツコツコツ2年前後かけて解いてるんだから。
門外漢にとやかく言われる覚えはないなぁ。

話がそれたけど、受験が大きな山、その後人並み(といっても、さすが、頭脳明晰な同級生が多かった)に努力して、心身ともに健康を維持(ここもかなり重要)できれば、医者にはなれた。

夢や目標の職に就くのって、どれぐらいなものなんでしょう。
いろんな意味で。
医学科に入って医師になる、看護学科に入って看護師になる、、狭い世界に生きてるからなぁ。

医学科不合格になっていたら、バイオ関係の勉強をしていたはず。

この仕事、いいところももちろんたくさんある。
だけど、時間外勤務をするたびに、自分の寿命を切り売りしてる気がしてならない。

TはYとかSとかMとかとも会ってるらしい。
今度のみに誘ってもらおう。


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日記 [お医者のキモチ]

今日は初めての自分は休み、相方は出勤の日。
相方を送り出した後、掃除と洗濯を開始して今に至る。
二度寝でもしようかと思ってたけど、まぁいいや。
こんなにまともに家事したのは学生のとき以来だ。

物干しに外に出ると、日差しが気持ちいい。
でも俺花粉症・・。

おとといから昨日にかけて当直。
インフルエンザ流行ってます。
うちの病院はいわゆる「コンビニ外来」。
「近所なんで~」という感覚で時間外に受診する人が多い。
電話で相談された場合には、待てそうな方であれば翌日の受診を勧めるけど、直接いらっしゃる方も相当数いる。
午前2時や3時に基礎疾患なしの風邪症状で受診するのって、どうなんでしょうか。
当直後の通常勤務が待っているという我々の感情を差し引いても。
インフルエンザと診断してもタミフルを希望するでもなく。
市販薬で充分対処できるじゃないですか。
何度も言うようだけど、風邪薬は症状を緩和するだけで風邪を治す薬ではない(抗菌・ウイルス作用はない)って啓蒙するべきですよ。
製薬会社のCMもしかり。

基礎疾患なしの発熱とか、救急隊員が圧迫したら止血できた鼻血とか、足がつったとか、不定愁訴の常連とか、「同情できない軽症」の人の救急車もご遠慮願いたい(「同情できる軽症」は打撲や擦り傷程度ですんだ交通外傷など)。
1回の出動で45000円程度の税金が費やされることを考えると、一部有料化もやむをえないでしょう。

当直明けの勤務を終えて、同期研修医で飲み会。
全員がそろうことはできなかったけど、楽しかった。
体調を崩してしまう人もいたけど、当直減らしてもらったりしながら、大崩れすることなくみんな研修を修了できそう。
(当直できない人をさげすんだり、本人が引け目を感じてしまうのは本来おかしい。労働環境が変わるべきなのであって、労働者が無理をしなければならない理由はない。)
仲良く、励ましあえる同期ばかりでよかった。

さて、そろそろ相方と落ち合いに行くかな。


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